DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

恒星の中で最も明るいマイナス1等星 シリウスとカノープス

今回はマイナス1等星について書いて行きたいと思う。

 

1. 2つのマイナス1等星

マイナス1等星とは普通の1等星よりも更に明るい0等星よりも更に明るい恒星のことであり、マイナス1.5~マイナス0.5等までの恒星のことを表す。

そして、地球から見てマイナス1等星に相当する恒星はシリウスとカノープスの2星のみであり、これらの恒星は他の恒星と比較すると非常に明るいので一発で見分けることが出来る。

しかし、これらの恒星は地球から見た明るさは非常に明るいという共通点はあるが地球からの距離は全く異なるので絶対等級も大きく異なる。

シリウスは地球からの距離が8.6光年と非常に近く、この距離はリギル・ケンタウルス系, バーナード星, ウォルフ359, ラランド21185に次いで近く、肉眼で見える恒星に限定するとリギル・ケンタウルス系に次いで近いほどである。

けれどもカノープスはシリウスが8.6光年と非常に近いのに対して309光年と比べ物にならないほど遠く、この距離は全天21恒星の中でもデネブ, リゲル, ベテルギウス, アンタレス, ハダル, アクルックスに次いで遠いほどである。

そのため、カノープスの絶対等級はシリウスが1.424等に対しマイナス5.604等と極めて強く、これはシリウスの647倍もの明るさに相当する。

 

ここまではマイナス1等星の絶対等級などについて大雑把に書いてきたがここからは様々な点について比較していきたいと思う。

 

 

 

2. 物理的性質の違い

シリウスとカノープスは地球からの明るさが非常に明るいという共通点があるが地球からの距離は全く異なり、実際にはカノープスのほうが35.9倍も遠い。

しかし、カノープスのほうが圧倒的な距離を有しているのにもかかわらず地球から見たカノープスの明るさがシリウスの半分程度もある理由はカノープスがシリウスの647倍もの明るさを誇るからである。

そして、物理的にはカノープスのほうが圧倒的に明るいことになるが実際に比較していきたいと思う。

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ここでR☉, M☉などの記号が書かれているがこれは太陽との比較であり、☉とは太陽の記号である(惑星の記号は水星は☿, 金星は♀, 地球は♁, 火星は♂などである)。

また、Rは半径(Radius), Mは質量(Massive), Lは光度(Luminous)を表しているのでR☉は太陽直径, M☉は太陽質量を示しているので1.68R☉は太陽の1.68倍の半径を有しているということである。

そして、この表からカノープスはシリウスとは比較にならないほど大きな直径を有しており、水星軌道に匹敵するほどの直径であるので驚きである。

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シリウスとカノープスは直径の面では上図のように全く異なり、カノープスのほうが圧倒的の大きく、シリウスの42.5倍にも及ぶ。

けれども質量の面で見てみると後述でも述べるようにせいぜいシリウスの5倍程度しかないので密度はカノープスのほうが圧倒的に小さく、太陽などと比較すると無いに等しいほどである。

 

そして、先ほども書いたように質量に関しても太陽の10倍近くとやはりシリウスと比較すると非常に重く、この大質量がこの極端な明るさを表していると言っても過言ではないが直径から見てみるとかなり小さく、この理由はカノープスが高齢な恒星だからである。

カノープスは非常に高齢な恒星であり、恒星は高齢化して中心部の水素が枯渇すると核融合が起こる箇所が外層部に移るために直径が非常に大きくなり、カノープスの直径は非常に大きくなっている。

そのため、カノープスの表面積は太陽の5,000倍以上もあり、更に表面温度も太陽と比較すると高いためにこの莫大な光を生み出しているのである。

それに対してシリウスはまだ若齢の恒星であり、主系列星と呼ばれている水素からヘリウムを生成する核融合を中心核で起こしている段階であり、太陽も同じような段階にある。

そして、カノープスにも主系列星の時代がかつてはあったがこの時からシリウスとは比較にならないほどのエネルギー量を放っており、表面温度も3倍近くもあったと推測される。

ちなみに表面重力は太陽が274 m/s^2と地球の28倍もあるのに対し、シリウスは196 m/s^2と太陽よりかは小さく、カノープスは超巨星化しているので0.527 m/s^2と非常に小さくなっており、これは地球はおろか月の表面重力の3分の1程度しかないほどである。

表面重力は天体の質量に比例し、半径の2乗に反比例するので質量に対し、直径が極めて大きな超巨星では表面重力は非常に小さくなるのである。

ここまではシリウスとカノープスの物理的な性質について書いてきたがここからは他の恒星から見たシリウスとカノープスについて書いて行きたいと思う。

 

 

 

3. 他の恒星から見た場合

シリウスは地球から見た明るさはカノープスの2倍もあり、全天で最も明るい恒星であるが他の恒星から見た場合にはどのように見えるのだろうか?

当然少し離れただけでシリウスは暗くなっていき、カノープスは遠くでも非常に明るく見えることは想像するまでも無いが初めにシリウスから見たカノープス, カノープスから見たシリウスについて書いて行きたいと思う。

シリウスからカノープスを観測すると太陽から見た時とほとんど位置を変えることは無く、5.25光年しか離れていないプロキオンに次ぐ全天第二の恒星として観測することが出来る。

その明るさはマイナス0.77等と地球から見たカノープスよりも若干明るく見え、距離は302光年と地球からの距離よりも若干近くなっている。

 

では、逆にカノープスからシリウスを観測するとどのように見えるのだろうか?

カノープスからシリウスを観測すると太陽と非常に近い位置に6.26等星として観測することが出来、この明るさは肉眼でギリギリ見えるか見えない程度の明るさであるがよほど視力が良くて、更に光の全くないようなところでしか観測できない程度の明るさである。

勿論カノープスからみてシリウスは302光年しか離れていないが絶対等級が7等ほども違うので明るさは全く異なり、非常に明るく輝いているカノープスに対し、シリウスはほぼ見えないほどとなっている。

 

では、次に他の恒星からシリウスとカノープスを観測していきたいと思う。

ここで今回取り上げる恒星はベガ, ベラトリックス, リゲルとしていきたいと思う。

初めにベガから書いて行きたいと思うがベガは地球からの距離が25光年ほど離れた所にある恒星であり、全天で5番目に明るい恒星である。

そして、ベガからシリウスを観測すると33.2光年ほど離れた位置にある1.46等星として観測でき、この明るさはギリギリ1等星として観測できる程度である。

また、この時シリウスはカノープスの方向に寄っており、現在の位置とは大幅にずれている。

そして、ベガからカノープスを観測すると333.5光年ほど離れた位置にマイナス0.50等星として観測することができ、ベガとカノープスは地球から見るとほぼ反対側にあるので距離は地球から見ると若干遠くはなるがこれでもベガから見ると全天で最も明るい恒星として観測することが出来る。

 

では、次にベラトリックスから観測していきたいと思う。

ベラトリックスはオリオン座の中で3番目に明る恒星であり、地球からは252.5光年ほど離れている。

そして、ベラトリックスからシリウスを観測すると245光年ほど離れた位置に5.81等星として観測することができ、カノープスと比較すると明るく見えるがとても暗い恒星であることには変わりがない。

それに対し、カノープスは286.5光年離れた位置にあるマイナス0.88等星として観測でき、この明るさは地球から見た明るさよりも明るく、その理由は単純にカノープスまでの距離が太陽よりもベラトリックスのほうが近いからであるがこれでもシリウスまでの距離と比較すると遠い。

 

そして、最後に最大級の恒星であるリゲルから見た明るさについて書いて行きたいと思う。

リゲルはオリオン座で最も明るい恒星であると同時にβ星の中でも最も明るく、地球からは7番目に明るい恒星であるが距離は863光年と非常に遠い。

それにもかかわらずリゲルの明るさが明るい理由は絶対等級が極めて強いからであり、カノープスと比較してもかなり明るいほどである。

では、リゲルから観測してみるとどのように見えるのであろうか?

リゲルからシリウスを観測すると855光年離れた位置にある8.52等星としてしか観測することが出来ず、この明るさは肉眼で見ることは不可能である。

しかし、カノープスは688.6光年離れた位置にある1.02等星として観測することができ、この明るさはベガから見たシリウスよりも明るく、当然1等星である。

更に先ほどリゲルは絶対等級的にはカノープスよりも明るいと書いたがカノープスからリゲルを観測すると余裕でマイナス等級として観測することが出来る。

 

このようにシリウスは地球から見るとカノープスの2倍ほどの明るさで観測することが出来るが少しでも距離を隔てるとカノープスのほうが明るく見え、実際に近場の恒星であるベガから見てもカノープスのほうが余裕で明るく見えるほどである。

 

 

 

以上、マイナス1等星についてでした。