DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

かつて存在した巨大星座アルゴ ほ座編

昨日はりゅうこつ座について書いたので今回はほ座について書いて行きたいと思う。

 

3. 最輝星は灼熱のほ座

ほ座はアルゴ座の帆に当たる星座であり、恒星の明るさ的にはりゅうこつ座以下とも座以上と言える。

そして、ほ座にも数多くの明るい恒星が含まれているが1等星は無く、最も明るいγ星でも1.75等と明るいことは明るいが極端ではない。

では、初めにギリシャ文字を有するほ座の恒星について書いて行きたいと思う。

 

3.1 ギリシャ文字を有する恒星

ほ座にはギリシャ文字を含む恒星がγ, δ, κ, λ, μ, ο, φ, ψの計8星あり、この中で2等星は4つある。

f:id:DS930810:20180317131348j:plain

 

この中で2等星である恒星はγ星(アル・スハイル・アル・ムーリフ, 1.75等)、δ星(アルセフィナ, 1.96等)、λ星(アル・スハイル・アル・ワズン, 2.21等), κ星(マルケブ, 2.48等)の4つであり、アルセフィナ以外の恒星はかなり遠方に位置している。

 

そして、この中で最も明るい、つまりほ座で最も明るい恒星はγ星のアル・スハイル・アル・ムーリフ(Al Suhail Al Muhlif)であり、北極星よりも明るい1.75等で輝いている。

また、この恒星の名称は非常に長く、これが伝統的な名称であるが最近ではロジャー(Roger)の逆つづりであるレゴール(Regor)のほうが一般的になっており、こちらのほうが多く使われる傾向がある。

ここまではこの恒星の名称と地球からの視等級について書いたがここからは物理的な性質について書いて行きたいと思う。

この恒星は地球からは1,117光年と非常に遠く、これほどの距離を有しているのにもかかわらず地球から見た明るさが1.75等とかなり明るい理由は絶対等級が非常に強いからであり、実際にマイナス5.92等とη星を除くアルゴ座のギリシャ文字を有する恒星の中では最も絶対等級の強い恒星である。

更にこの恒星は非常に複雑な連星系であり、最も明るく見える主星はO7.5タイプの超巨星(または巨星), そして第一伴星はウォルフ・ライエ星と呼ばれる極めて特殊な形態の恒星である。

ウォルフ・ライエ星とは質量が極めて大きな恒星が外層部を吹き飛ばすことにより生じる恒星であり、超高温の内部がむき出しとなるので表面温度は極めて高い恒星である。

実際にほ座γ星の伴星の表面温度は46,000 Kほどもあると推測されており、この表面温度は肉眼で観測できる恒星の中では最も高温であると推測される。

また、このウォルフ・ライエ星は元々は太陽の40倍もの質量があったと推測されているが現在はカノープスと同等の10倍程度にまで質量を減らしており、75%もの質量は宇宙空間に吹き飛ばしている。

ここまでは伴星のウォルフ・ライエ星について書いてきたが主星のほうも非常に高温な恒星である。

主星はスペクトル型がO7.5型の超巨星であり、表面温度は35,000 Kもあると推測されており、この表面温度は肉眼で見える恒星の中では最も高いものの一つであり、更にO型星(最も高温なスペクトル型)の中では地球から最も明るく見える恒星である(オリオン座のアルニタクもほぼ同じ明るさであり、一概にどちらが明るいかとは言えないが)。

当然これほど大規模な恒星であるのでエネルギー量もすさまじく、可視光だけだとこの恒星単体でカノープスと同等のマイナス5.6等、総エネルギー量だと太陽の数十万倍はいくのではないかと考えられている。

また、質量は太陽の30倍程度と非常に重く、今後この恒星もウォルフ・ライエ星化するのではないかと考えられる。

 

ここまでは最輝星であるγ星について書いてきたが今度はδ星の前にλ星について書いて行きたいと思う。

λ星は地球から見た明るさが2.21等であるのでほ座では3番目、アルゴ座全体で見ても6番目に明るい恒星である。

また、固有名はアル・スハイル・アル・ワズン(Al Suhail Al Wazn)であるがγ星がレゴールと呼ばれることが多くなったので単にスハイル(Suhail)と呼ばれることのほうが多い。

そして、この恒星は地球からの距離は545光年とかなり遠めであるがもう一つのスハイル(γ星)と比較すると半分にも満たず、更に地球からの明るさも暗い。

このことよりλ星の絶対等級は暗いようにも見えるがあくまでγ星と比較すると暗いだけであり、この恒星自体も非常に明るい恒星である。

その絶対等級は可視光だけでマイナス3.88等にも及び、更にこの恒星のスペクトル型はK5Ⅰb型の低温の超巨星であるのでこの恒星は一般的には赤色超巨星として扱われている。

また、この恒星は赤色超巨星と書いたように非常に高齢な恒星であり、不規則な変光星(不規則変光星)である。

不規則変光星にはさそり座のアンタレスやペガスス座のエニフが含まれており、これらの恒星はいずれもKM型の赤色超巨星である。

そして、アンタレスはより高齢のM型超巨星であり、更に絶対等級もスハイルと比較すると強く、どちらかと言うとスハイルはエニフのほうに似ている(エニフのスペクトル型はK2Ⅰbであり、絶対等級はマイナス4.24等とスハイルを若干上回っている)。

ちなみに質量は太陽の8.5倍程度と推測されているので今後は超新星爆発を起こす可能性も比較的高いが必ずしもそうなるとは限らず、大規模な白色矮星と化す可能性も十分考えられる。

 

ここまではスハイル2星について書いてきたが今度は偽十字2星について簡潔に書いて行きたいと思う。

偽十字2星とはアルセフィナとマルケブのことであり、他にはりゅうこつ座のアヴィオールとアスピディスケが含まれている。

そして、アルセフィナは地球からの距離は80光年程度と比較的近く、地球から見た明るさも北極星程度であるので絶対等級も0等程度とそこまでは強くない。

けれどもマルケブは572光年とスハイル以上に遠く、絶対等級もマイナス3.75等もあり、この明るさは北極星よりも明るい。

更にこの恒星は表面温度が20,000 Kよりも高いので総合的なエネルギー量だとカノープスをも上回っている。

しかし、これ以上書くと記事が充満してしまうので以下の記事を参照していただきたい。www.rigelultragiant.com

 

以上が2等星までの恒星についてであるがここからは3等星以下の恒星について書いて行きたいと思う。

ほ座の恒星の中で5番目に明るい恒星はμ星であり、この恒星はアルゴ座全体で見ても10番目に明るい恒星である。

そして、この恒星は地球からは117光年ほど離れており、絶対等級はマイナス0.09等と若干ではあるがマイナスに達しており、そこそこ明るい恒星であることが分かる。

けれども先ほど書いたスハイルと比較するとやはり暗い恒星のようにも思え、実際にこの恒星はG5型のやや低温な恒星であり、極端に明るい印象も無く地味な恒星のようにも思える(アルゴ座の恒星は明るいものが多いから)。

実はほ座の恒星で3等星に分類される恒星はこの恒星のみであり、他の3星は僅差で4等星に分類されている。

 

その中で最も明るい恒星はφ星であり、この恒星は地球から見た明るさは3.52等と比較的明るく、4等星の中では最も明るい部類に入る。

更にこの恒星は地球からの距離が相当離れており、その距離はデネブやりゅうこつ座υ星よりも遠い1,591光年も離れている。

当然ここまで離れていると恒星の明るさも相当なものであることを想像することは難くなく、絶対等級はマイナス4.92等にも及び、この明るさはアンタレスとほとんど大差がないほどである(マイナス5等あるか無いかの違いはあるが)。

そして、表面温度はアンタレスとは違い比較的高く、スペクトル型がB5Ⅰb型であるのでおおいぬ座のアルドラとほぼ同じ15,000 K程度であり、青白い恒星として観測できる(アルドラは更に明るく、スペクトル型もB5Ⅰaである)。

 

次に明るい恒星はψ星であるがこの恒星は強豪ぞろいのアルゴ座の中では非常に暗い部類に入り、主星の明るさはプロキオンと同レベルの明るさである。

プロキオンは冬の大三角形の恒星の一つであり、地球から見ると8番目に明るいが距離が11.4光年と非常に近いので絶対等級は2.65等とリギル・ケンタウルス以外の1等星全てに負けている。

当然この恒星もアルゴ座のギリシャ文字を有している恒星の中では最弱であり、地球からの距離は61.4光年ほどしか離れておらず、絶対等級は2.60等とかなり暗い。

ちなみに表面温度はカノープスと同等ぐらいである。

 

最後にο星について書いて行きたいと思う。

ο星は地球から見た明るさが3.60等とアルゴ座のギリシャ文字を有している恒星の中では最も暗く、更に位置も分かりずらいが地球からの距離は493光年と比較的離れているので絶対等級はマイナス2.30等と比較的明るい。

そして、表面温度は17,100 K程度と比較的高く、恒星としてはりゅうこつ座のχ星やa星と比較的良く似ているがこれらの恒星と完全に似ているわけでは無く、この恒星は比較的個性に欠ける恒星である。

何故ならχ星はケフェウス座β型変光星、a星は接近連星であるがこの恒星にはそのような性質は見られず、そこまで特徴のある恒星ではないからである。

しかし、この恒星は星団に属している恒星であり、この恒星の周りには比較的明るい恒星が周辺部におり、見ごたえはある恒星であるとも言える。

ちなみに固有名はゼスタス(Xestus)と言う。

 

 

3.2 ギリシャ文字を有さない恒星

りゅうこつ座にはギリシャ文字を有さないのにもかかわらず明るい恒星が多く見られたがほ座にもそこそこ明るい恒星がある。

ギリシャ文字を有さない恒星で明るい順に並べるとN星, c星, b星, p星, q星, a星の順に続き、これらの恒星は4等星よりも明るい。

f:id:DS930810:20180317143011j:plain

特にこの中で最も明るい恒星はN星であり、実を言うとこの恒星はギリシャ文字を持たない恒星全体の中で最も明るい恒星で地球から見た明るさは3.16等とそこそこ明るい。

そして、この恒星は地球からは239光年の距離にあり、絶対等級はマイナス1.16等とそこそのの明るさである。

また、スペクトル型はK5型の巨星であるのでオレンジ色の恒星として観測でき、時期に寿命を迎えるのではないかと考えられている。

 

次に明るい恒星はもう4等星となるがc星であり、この恒星は300光年ほど離れた所にあるオレンジ色の恒星であり、N星と比較的似ている特に特徴のない恒星であるが次に明るいb星は銀河系屈指の明るさを有する恒星である。

この恒星はスハイル2星の間に挟まれている恒星であり、地球からの明るさは3.77等とc星よりも若干暗いが距離が異常なほどに遠く、年周視差が0.67ミリ秒ととんでもなく小さいので地球からの距離は4,868光年ほども離れていると考えられている。

当然絶対等級もすさまじいことになっており、その明るさはリゲルをも驚愕するマイナス7.1等にも及び、この明るさは5,000光年以内の恒星の中ではアルニラムに次ぐ二番手である。

ちなみにスペクトル型はF3Ⅰa型であり、Ⅰa型ということはリゲルやデネブなどと同じ非常に明るい超巨星に分類されているが表面温度はそこまで高くはないので総合的なエネルギー量だとリゲルよりかは若干小さくなると考えられる。

また、この恒星もはくちょう座α型変光星とされることがあるがこの変光星の中では相対的に最も高齢な恒星であり(F型だとこの恒星以外無い)、100万年も経たないうちに超新星爆発を起こすと考えられる。

けれどもこれほど明るい恒星にも関わらずりゅうこつ座のV382星, V399星, V533星やとも座l星(3番星)と比較するとまだ暗く、これ以上の明るさの恒星が存在することには驚かされる。

 

他にもp星, q星, a星などが含まれているがp星やq星は暗い恒星であり、絶対等級もシリウスと同等か若干暗いほどであるがa星はかなり明るい恒星であり、絶対等級もマイナス5等近くに達しているがb星と比較するとやはり暗いと言いざるを得ない。

 

 

 

以上、ほ座の恒星についてでしたが次はとも座について書いて行きたいと思う。