DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

南極の降水量は少ない そして砂漠ともいわれているが...

 今回は南極大陸の降水量ついて書いて行きたいと思う。

目次

1. 降水量と循環

 南極大陸について書く前に降水量について書いて行きたいと思う。降水量は降水(雨, 雪)の降った量のことであり、単位はミリメートルで表される。

 そして、降水量は地域によって大きく異なり、中緯度高圧帯の影響を受けるところでは少なく、赤道付近では多い傾向がある。

 また、降水量は世界の気候を分ける上で非常に重要なパラメーターであり、降水量が少ない地域では乾燥、即ち砂漠と化し植生も見られなくなる。

 ここで、降水量に大きな関係のある大気の循環について書いて行きたいと思う。

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 大気の循環は大雑把に書くと上図のようになっており、上図では北半球の循環を示しているが南半球でも同様な循環が起きている。

 赤道付近では太陽が年がら年中当たるため、海洋の水が多く蒸発することにより上昇気流、即ち低気圧が生じるので降水量が多くなる。

 そして、この蒸発した水は上空を高緯度側に進むことになるが高緯度側に進むにつれて雨として地上に落ちていくので空気中の水分は少なくなっていく、やがて亜熱帯地方で乾いた空気が下降することになる。この乾いた空気が亜熱帯地方で高気圧を発生させることになり、この高気圧が亜熱帯砂漠を形成する亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)であり、ちょうどこの緯度に位置しているアラビア半島やアフリカ北部が世界最大の乾燥地帯となっている。

 その後、乾いた空気は赤道方向と極方向へ進むことになるが赤道方向への空気の流れのことを貿易風と呼び、地球の自転速度の関係から東風となる。

 この一連の循環のことをハドレー循環と呼び、この名称はイギリスの気象学者であるジョージ・ハドレー(George・Hadley)にちなむ。

 また、循環は当然ハドレー循環のみに留まらず、亜熱帯で乾いた空気は極側にも進むことになる。この極側に進む空気の流れのことを偏西風と呼び、この風は当然西風となる。そして、この偏西風は亜寒帯当たりで上昇することになるのでこの亜寒帯地域の気圧は低くなる、即ち低気圧が生じることになるためこの地域では降水量が比較的多くなり、実際に亜寒帯気候の大半は湿潤気候(Df)となっている(東シベリアは冬季少雨気候となっているがカナダや西シベリアではほぼ全ての地域が湿潤気候となっている)。

 そして、この上昇した空気は赤道方向と極方向に分かれることとなり、赤道方向へ進んだ大気は乾燥し、やがて亜熱帯地方で下降することとなる。

 この循環はフェレル循環と呼ばれており、この名称はアメリカの気象学者であるウィリアム・フェレル(William・Ferrel)にちなむ。

 更に大気の循環は北側にもあり、亜寒帯地方で上昇した大気は極地の方向に向かい、極地にたどり着くとやはり乾燥した大気が下降をすることとなり、ここでも高気圧が生じる。高気圧が生じるということは極地方も亜熱帯地方と同じように乾燥することとなり、実際に極地方での降水量は少ない。

 そして、極地方で降下した乾燥大気は赤道方向に向かうことになるがこの大気も亜寒帯地方で上昇することとなる。

 この循環は人名ではなく単純に極地方で起きている循環であるので極循環と呼ばれており、最も北で起きている循環である。

 以上のことより地球の降水量は大気の循環によってある程度は決まっており、亜熱帯地方が乾燥する原因は高気圧が常に発生していることが原因ではあるが実は大気の循環は季節によって若干異なっている。

 季節は地軸によって起こるものであり、この理由は地球が太陽の周りを公転する時に太陽が直角に当たる場所が異なるからであり、夏至の日には北回帰線、(北半球にとっては)冬至の日には南回帰線に太陽が直角に当たることとなり、当然最も温度が上がる場所も移動するので亜熱帯高圧帯の場所も移動することとなる。

 亜熱帯高圧帯が冬場にかかる場所は亜熱帯よりか若干緯度の低い熱帯の高緯度側となり、この場所はサバナ気候となっている。逆に亜熱帯高圧帯が夏場にかかる場所は夏の間に降水量が少なくなり、亜熱帯よりかは若干緯度の高い地中海性気候となる。

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 夏場と冬場では太陽が最も当たる緯度が異なるので亜熱帯高圧帯の影響を受ける緯度も変わり、比較的亜熱帯に近い熱帯では冬場に乾燥し、逆に比較的亜熱帯に近い温帯では夏場に乾燥することとなる。

 そして、亜熱帯の中でも一年中亜熱帯高圧帯の影響を受ける地域では年がら年中降水の少ない砂漠気候となり、若干ずれた所は砂漠と比較するとまだ降水があるステップ気候となる。

※上図では省略しているだけであるが南半球でもハドレー循環は起こっている

 そのため、亜熱帯地方では降水量が少なくなるが季節風の影響を受ける沖縄では降水量は多くなり、「亜熱帯=降水量が少ない」という構図は必ずしも成り立つわけでは無いが沖縄県は本州よりかは乾燥しやすい地域である。

 そして、亜熱帯以外のもう一つの高気圧が常駐する極付近の降水も当然少なくなるわけであるが...

2. 乾燥限界的に砂漠とならない極地

 乾燥する地域は地球の大循環より亜熱帯地方と極地となり、極地でも亜熱帯と同じぐらいに降水量が少なくなると考えられる。実際に詳しいデータは無いが南極点の降水量は亜熱帯の砂漠気候ほどに少なく、このことを考慮すると南極点も砂漠になると思われるが実は砂漠気候にはならない。

 勿論、砂漠気候の定義には「最暖月の平均気温が10℃を上回り、かつ降水量が乾燥限界の半分にも満たない」とあることから南極点の平均気温的には砂漠気候にはならない。ではもし、この最暖月の定義を外し、気温に関係ない条件に無理やりすると南極点は砂漠になるのだろうか?

 実は答えはNoであり、この理由には乾燥限界というワードがあるからである。乾燥限界とは乾燥帯とそれ以外の気候を分けるための降水量のボーダーであり、この乾燥限界を下回った地域は乾燥帯と呼ばれることになる。

 乾燥限界は年平均気温と降水の季節による違いにより定義され、年平均気温が高いほど乾燥限界は大きくなる。この理由は気温が高いほど水が蒸発する量が増えるからであり、また夏に降水が多い場合は水分の蒸発が多い時期に雨が多く降るので当然乾燥限界も増えることとなる。

 そのため、乾燥限界の式は以下のようになっている。

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 ここでのtは年平均気温のことであり、夏場に降水が少ないとは冬場の最大降水月の降水量が夏場の最小降水月の3倍以上であるかつ最小降水月の降水量が30 mm以下の場合の時であり、冬場に降水が少ないとは夏場の最大降水月の降水量が冬場の最小降水月の10倍以上であるという条件であり、このどちらにも当てはまらない場合は湿潤気候となる。 

 ここで気づいたかもしれない年平均気温がマイナス14℃を下回る地域では乾燥限界が0以下となり、降水が0であったとしても乾燥限界を下回らないこととなる。

 当然、南極点の年平均気温はマイナス14℃を軽々と下回っており、大体マイナス50℃程しかないので乾燥限界も当然0となる。つまり、南極点では乾燥限界を下回ることは無いので砂漠気候はおろかステップ気候となることも無いので南極点=砂漠とは決して言えないのである。

 また、このことは南極大陸の他の地域でも同じことが言え、他の地域でも大半は年平均気温がマイナス14℃を下回っているので乾燥しているとは言えず、マイナス14℃を上回っている地域では亜寒帯低圧帯の影響で降水が見られるために南極大陸には砂漠は無いと言える。

 以前の記事やWikipediaでは南極大陸が世界最大の砂漠と書いてあるが乾燥限界的に見ても砂漠とは決して言えず、世界最大の砂漠はやはり気温が高い亜熱帯のサハラ砂漠なのである(降水量的に見れば南極も乾燥限界関係なく砂漠となりそうであるため、一概に南極≠砂漠とは言えないが)。

 以上、南極大陸の降水量についてでした。