DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

接近する恒星 グリーゼ710

今回は将来地球に大接近をするグリーゼ710という恒星について書いて行きたいと思う。

 

1. グリーゼ710とは

グリーゼ710は地球から見てへび座の方向に位置している小さな恒星であり、地球から見た明るさはわずか9.66等と非常に暗く、当然この明るさだと肉眼で観測することは不可能である。

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グリーゼ710はへび座η星(3.23等星)のすぐそばで輝いている恒星であり、地球からの距離は63.8光年ほど離れている。

よって絶対等級は8.20等と非常に暗く、この明るさは肉眼で観測が可能な恒星の中で最も絶対等級の弱いはくちょう座61番星の伴星と同等の明るさである。

そのため、太陽と比較すると非常に暗く、直径も質量も太陽と比較するとだいぶ下回っている。

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左の橙色の球がグリーゼ710であり、右の黄色い球が太陽である。

このように比較してみるとグリーゼ710は太陽と比較すると直径面では64%(890,880 km)、質量面では60%しか無く、スペクトル型はK7Ⅴの低温の主系列星であるので光度は太陽の4.5パーセント程度の小さな恒星である。

そのため、太陽からこの恒星は肉眼で観測することは不可能であるが逆にこの恒星から太陽を肉眼で観測することはギリギリ可能であり、6.29等の恒星として観測できる。

 

そして、先ほどはへび座η星のすぐそばに見えると書いたが実は物理的な距離でもへび座η星と極めて近く、わずか3.5光年程度しか離れていない。

この距離は太陽系から最も近いプロキシマ・ケンタウリ(4.24光年)よりも近く、グリーゼ710から見たら当然へび座η星が最も明るい恒星であり、その明るさはマイナス2.96等にも及ぶ。

ちなみにへび座η星のスペクトル型はK0Ⅲ型の巨星であるが巨星と言ってもアルクトゥルスのような完全な巨星では無く、まだ移動段階の巨星である(ポルックスみたいな恒星)であるので絶対等級はそこまで明るくはない。

その絶対等級は1.89等とシリウスと比較しても暗く、質量も太陽の1.5倍程度とかなり軽い恒星である。

なのでへび座η星自体は暗い恒星であるがこれほど近い距離にあるので非常に明るく見えるだけである。

仮に太陽を3.5光年の位置から観測するとマイナス0.013等程度の明るさで観測することができ、この明るさはリギル・ケンタウルスの主星とほぼ同等であるがへび座η星と比較すると暗いので極端に明るくは見えない。

 

では、へび座η星からグリーゼ710を観測するとどれほどの明るさになるのだろうか?

答えは3.36等星であり、この明るさは北斗七星のメグレズ(北斗七星中最も暗い星)よりも若干暗い程度であり、決して明るくは見えない。

この理由は当然グリーゼ710が非常に暗い恒星だからであり、このことよりグリーゼ710がいかに暗いかが分かる。

しかし、グリーゼ710は現在の所はへび座η星の至近距離にあるが将来的には...

 

 

 

2. 大接近する矮小恒星

グリーゼ710は現在は地球と63.8光年も隔てており、へび座η星と極めて近い位置に輝いているが将来的には太陽系の方向に急接近をし、現在のへび座η星との距離とは比較にならないほどの距離にまで接近する。

その距離は1.1光年程度であり、これは㎞に換算すると10兆を若干上回る程度にしかすぎない。

そして、これは今から136万年後に起こる出来事であり、その時はシリウスもかなり遠ざかっておりそこまで目立つ恒星には見えず、代わりの他の恒星が明るく見えるようになっている。

では、136万年後に1.1光年にまで迫るグリーゼ710の視等級はどれほどになっているのだろうか?

答えは0.84等程度であり、この明るさはアルデバランとほぼ同等で、更に表面温度も比較的似ているのでアルデバランのように観測できると考えられる。

勿論グリーゼ710とアルデバランでは絶対等級は雲泥の差であるので同じとは言いづらいが...

このように非常に暗い恒星であったとしても1光年程度にまで接近すると肉眼ではっきりと観測ができる程度の明るさとなり、太陽はこの距離から見るとマイナス2.53等と現在のシリウスの明るさを余裕で超えるほどの明るさとなる。

しかし、先ほども書いたようにグリーゼ710はこれほど近づいたとしてもせいぜい0.84等程度の明るさにしか見えず、実際にこれ程度の明るさでは全天最輝星とは程遠く、この時期で最も明るい恒星はりゅう座γ星のエルタニンたて座δ星であり、これらの恒星は大体シリウスと同等か少し暗い程度の明るさの恒星として観測することが可能となっている。

けれども距離に関しては断然グリーゼ710のほうが近く、たて座δ星は最も接近しても9.2光年、エルタニンに至っては28光年程度にしか近づかないので重力的な影響はグリーゼ710のほうが断然大きい。

 

そして、この重力的影響は決して無視できないものとなっており、太陽系の周りにはオールトの雲と言う彗星の起源となっている天体が球状に取り巻いており、これは太陽から1.5光年程度の所にまで広がっている。

この距離はグリーゼ710の最接近距離よりも遠く、グリーゼ710が接近することによりオールトの雲がかき乱される危険性は高く、もしそのようになると彗星が地球に降り注ぐ可能性も当然高くなる。

しかし、オールトの雲自体は特に密集するほど密度が濃いわけでは無く、更に1.5光年も離れているので地球への影響はさほど高くないとも考えられる。

けれども最近の研究ではグリーゼ710は更に近づく可能性も考えられ...

 

 

 

3. 光年を割り切る可能性も...

先ほどまではグリーゼ710は1.1光年まで近づくと書いたが最近の研究では更に近づく可能性もあるのではないかとも考えられている。

Wikipediaの情報によるとグリーゼ710の最接近時は136万年後ではなく135万年後であり、この時0.211光年(2兆キロメートル)にまで接近するとガイア探索器により推測されている。

これほどの距離にまで近づくと暗いグリーゼ710でもマイナス2.74等星として観測できるようになり、この明るさは現在のシリウスの明るさを超えており、更にその時期のエルタニンやたて座δ星の明るさをも軽々と超えている。

当然、太陽もグリーゼ710から観測するとマイナス6.12等とシリウスはおろか金星の明るさの2倍以上の明るさで観測することができ、この接近が普通の接近では無いことが伺える。

そして、ここまで接近すると重力的な影響も大きくなり、先ほど書いたオールトの雲がかき乱されて地球に彗星が多量に降り注ぐ確率も格段に上昇し、地球生命の危機に瀕する可能性も十分考えられる。

更に太陽の重力は1.5光年程度にまで届くので場合によっては大接近(というよりも超接近)によってグリーゼ710が太陽の伴星になる可能性も十分に考えられる。

まあ、これはグリーゼ710の運動エネルギーが太陽の重力エネルギーに負けた場合に起こりゆる話しであるので可能性的にはそこまで高くはないが...

 

 

 

以上、大接近する恒星、グリーゼ710についてでした。