DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

乾燥限界とは この半分以下の数値だと砂漠に

今回は乾燥限界について書いて行きたいと思う。

 

1. 乾燥限界とは

乾燥限界とは樹木が生育できる最低限の降水量であり、この数値を下回った場合は乾燥帯(B気候)、上回った場合は湿潤気候(熱帯, 温帯, 亜寒帯)となり、寒帯においては特に乾燥限界は定められていない。

そして、乾燥限界は気温によって異なり、気温が高ければ高いほど水分が蒸発する量が増えるために乾燥限界の数値も高くなる。

そのため、乾燥限界は赤道付近のほうが高緯度側よりも大きくなり、乾燥限界は以下のような式で求められる。

冬季少雨気候(w)気候

r=20(t+14)

 

年間湿潤(f)気候

r=20(t+7)

 

夏季少雨気候(s)気候

r=20t

 

このような形で乾燥限界は求められ、この式に登場するtは年間の平均気温である。

ここからはそれぞれの気候区について書いて行きたいと思う。

 

1.1 冬季少雨気候(w)

初めに冬季少雨気候について書いて行くと、冬季少雨気候とは冬の降水量が夏と比較すると少ない気候であり、冬場の最小降雨月の降水量が夏場の最大降水月の10分の1を下回っていればこの気候に当てはまり、サバナ気候(Aw), 温暖冬季少雨気候(Cw), 亜寒帯冬季少雨気候(Dw)がこれに属している。

このような季節の場合は冬場に降水量が少ない、つまり夏場に降水量が多く、夏場は気温が高く水分が蒸発しやすくなっているために乾燥限界はかなり高くなっている(蒸発しやすい夏に雨が多く降るため)。

 

ここで例を挙げるとホーチミンの年平均気温は28.03℃(26.1~30.2℃)、降水量は最も少ない月は2月の4.1 mm、最も多い月の9月では327.1 mmとなっている。

最寒月の平均気温は18 ℃を上回っているので熱帯、更に最も降水の多い月は9月の夏場であり、この降水量は最も少ない月の2月(冬場)の80倍近くもあるので冬季少雨気候(サバナ気候)であることが分かる。

そして、冬季少雨気候であるので適応される乾燥限界は当然w型となり、ここから乾燥限界を求めると

r=20(28.03+14)=840.6 とかなり大きいがホーチミンの年降水量は1,931 mmもあるので湿潤気候であることが分かる(2月はほとんど雨は降らないが)。

 

 

1.2 年間湿潤気候(f)

次いで年間湿潤気候について書いて行くと年間湿潤気候とは年間の降水量に大差がない気候であり、ここでは冬季少雨気候でも夏季少雨気候でもない気候のことを指す。

そして、この気候に属しているのは熱帯雨林気候(Af), 温暖湿潤気候(Cf), 亜寒帯湿潤気候(Df)の3つであり、蒸発量の多い夏場に降水が集中しているわけでもなく、更に蒸発量の少ない冬場に降水が集中しているわけでもないため乾燥限界は冬季少雨気候と夏季少雨気候の中間の値を取っている。

 

ここで例を挙げると年間湿潤気候であるさいたま市の年平均気温は14.8℃(3.6~26.6℃)、降水量は最も少ない月は1月の37.4 mm、最も多い月の9月では201.8 mmとなっている。

最寒月の平均気温はマイナス3~18 ℃であるかつ最暖月の平均気温が10℃を上回っているので温帯、更に最も降水の多い月は9月の夏場であり、この降水量は最も少ない月の1月(冬場)の5~6倍程度しかないので冬季少雨気候ではなく年間湿潤気候(温暖湿潤気候)である。

そして、年間湿潤気候であるので適応される乾燥限界はf型となり、ここから乾燥限界を求めると

r=20(14.8+7)=436とホーチミンと比較すると小さく、さいたま市の年降水量は1,346 mmもあるので湿潤気候であることが分かる。

 

 

1.3 夏季少雨気候(s)

最後に夏季少雨気候について書いて行くと夏季少雨気候とは夏場に降水量が少ない気候であり、夏場の最小降雨月の降水量が冬場の最大降水月の3分の1を下回っていればこの気候に当てはまり、更に夏季の最小降水月の降水量が30 mmを下回っていることも条件に加わる。

そのため、上越市のように冬場の降水量が極めて多いために特に降水量が少なくない夏場の降水量の3倍を上回っている場合は年間湿潤気候に含まれる(上越市の最小降水月は30 mm以上である)。

そして、この気候に属しているのは一般的に地中海性気候(Cs)のみとされており、As気候やDs気候も一応はあるがこれらの地域はほとんど存在しないので割愛されることが多い。

また、蒸発量の少ない冬場に降水が集中しているために、冬季少雨気候とは逆に乾燥限界はかなり緩くなっている。

 

ここで例を挙げると地中海性気候であるマドリードの年平均気温は14.6℃(6.2~24.8℃)、降水量は最も少ない月は8月の10.0 mm、最も多い月の11,12月では56.0 mmとなっている。

最寒月の平均気温はマイナス3~18 ℃であるかつ最暖月の平均気温が10℃を上回っているので温帯、更に最も降水の多い月は11,12月の冬場であり、この降水量は最も少ない月の8月(夏場)の5.6倍もあるので夏季少雨気候(地中海性気候)であることが分かる。

そして、夏季少雨気候であるので適応される乾燥限界はs型となり、ここから乾燥限界を求めると

r=20×14.6=292と年平均気温がほぼ同じさいたま市と比較すると小さくなっており、マドリードの年降水量は436 mmもあるので湿潤気候であることが分かる。

余談だが436 mmはさいたま市の乾燥限界であり、マドリードの年平均気温はさいたま市よりも若干低いのでマドリードがもしf気候ならギリギリ湿潤気候となり、冬季少雨気候の場合は乾燥限界を下回ることとなるためにマドリードはステップ気候と化す。

 

 

 

2. 乾燥限界を下回る地域

ここまでは乾燥限界を上回る地域について書いてきたが今度は乾燥限界を下回る地域について書いて行きたいと思う。

乾燥限界を下回る地域は乾燥帯と呼ばれる地域であり、乾燥限界の半分~乾燥限界までのステップ気候と乾燥限界の半分を下回る砂漠気候の2つに分けられる。

つまり、ステップ気候は樹木が生育することは不可能であるが砂漠気候と比較したらまだ湿潤な気候であるとも言える。

 

そして、乾燥帯が広がる地域は回帰線前後に広がる亜熱帯地域であり、この地域では年がら年中中緯度高圧帯に覆われることとなるため、降水が発生することはほとんどない。

例としてはサハラ砂漠からアラビア半島にかけての地域であり、この地域は緯度的に見ると亜熱帯に属している上にモンスーンの影響も受けないために年がら年中乾燥している。

更にこれらの地域は亜熱帯であるため砂漠と化していなくても年平均気温は十分高く、更に砂漠であるのでその気温は底上げされており、当然乾燥限界も高くなっている。

 

では、ここからは例を挙げていきたいと思う。

砂漠気候の代表例としてはサウジアラビアの首都であるリヤドが挙げられ、リヤドの年平均気温は26.6℃(14.4~36.6℃)となっており、最寒月の気温が18℃を下回っているので一応は温帯に分類されるが年平均気温は砂漠の影響と亜熱帯地域であるので東京と比較すると10℃以上も高い。

更に降水量に関して書くと最小降水月は6~9月の0 mmであり(つまり4カ月の間雨が全く降らない)、最大降水月は3月の24.7 mmである。

このことより夏場に降水量が少ない夏季少雨気候であることが分かり、乾燥限界の計算式に当てはめると

r = 20×26.6=532と気温が高い割には小さいがリヤドの年間降水量は45.2mmしかないので乾燥限界の10分の1をも下回っている。

そのため、気温だけ見ると温帯(亜熱帯)ではあるがリヤドの年間降水量は極めて少なく、乾燥限界の半分を軽々と下回っているので非常に乾燥した砂漠と言え、砂漠気候に分類される。

 

このような地域はモンスーンの影響を受けない亜熱帯地方に集中している傾向があるがゴビ砂漠のような高緯度の地域にも見られることがある。

 

また、余談ではあるが年平均気温がマイナス14℃を下回る場合はいかなる状況であっても乾燥限界が0となり、結果として乾燥帯となることは無くなるがこのような地域の場合は寒帯であるので乾燥限界については特に定義されていない。

しかし、オイミャコンのような亜寒帯の中にも年平均気温がマイナス14℃を下回る地域があり、このような場合は決して乾燥帯になることは無く、そのため高緯度側に行けば行くほど乾燥帯になりにくいとも言える。

 

 

 

以上、乾燥限界についてでした。