DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

高齢化した低質量星 アルクトゥルス

今回は高齢化した低質量星であるアルクトゥルスについて書いて行きたいと思う。

 

1. アルクトゥルスとは

アルクトゥルスはうしかい座のα星で、日本から見える恒星の中では実は二番目に明るい恒星であり、ベガよりも若干ではあるが明るい(実際はカノープスのほうが明るいがカノープスは地平線すれすれにしか見えないのでここには含まない)。

そして、アルクトゥルスの地球から見た視等級はマイナス0.04等もあり、地球から見てマイナス等級で見える星の一つであり、他にはシリウス(マイナス1.47等), カノープス(マイナス0.72等), リギル・ケンタウルス(マイナス0.27等, 日本からは見えない)がある。

また、地球からの距離は36.7光年離れており、この距離はベガの1.5倍近くと比較的遠く、絶対等級もマイナス0.30等と地球からの距離が最も近い絶対等級がマイナスの恒星であり、更に太陽の110倍ほども明るい。

 

では、直径はと言うと太陽の24倍と太陽と比較すると非常に大きい恒星であり、この大きさは地球から66.8光年先にある恒星、アルデバランが来るまでトップの大きさであり、また、絶対等級もアルデバランが来るまでトップに君臨している大変明るい恒星である(下図. 太陽との比較)。

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また、アルクトゥルスは明るい割にはそこまで知名度が高いわけでなく、どこに位置しているかというと先ほども書いたようにうしかい座に属しており、この星座は春の星座である。

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アルクトゥルスはうしかい座の逆三角形の下の頂点に位置しており、その明るさはベガよりも若干ではあるが明るい。

そして、春の星空を眺めていると非常に明るい赤みを帯びた星を見かけることとなるがあの星こそアルクトゥルスなのである。

 

ここまでがアルクトゥルスの説明であり、アルクトゥルスが相当明るい恒星であることが分かったがアルクトゥルスの質量はどれぐらいになっているのだろうか?

これほど明るい恒星であるので太陽の3倍ぐらいはありそうだが実は太陽の質量よりもほんのわずかだけ質量が大きい程度であり、せいぜい太陽の1.1倍程度とリギル・ケンタウルスとほぼ同等である。

これは相当おかしな話のようにも聞こえるがこのことに関しては次の章で書いて行きたいと思う。

 

 

 

2. 軽量な巨星

アルクトゥルスの絶対等級は近辺の恒星の中でも非常に明るい部類に入っており、太陽の100倍以上の光度と20倍以上の直径を有している。

そのため、一見質量も太陽よりも重いようにも見えるが実は先ほども書いたように太陽と質量に関しては大差が無く、地球から最も近距離にあるリギル・ケンタウルスと同等の質量しかない。

リギル・ケンタウルスは太陽と比較的似ている恒星であり、外見も太陽と極端に差があるわけでは無く、更に絶対等級もとりわけ強くはなく、全天21恒星の中では最も弱い。

※1.5等よりも明るい恒星限定にすればリギル・ケンタウルスの伴星が最も弱いがここでは主星限定としている。

 

では、リギル・ケンタウルスとアルクトゥルスのデータを比較していきたいと思う。

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このようになっており、質量は同じではあるがそれ以外には全く共通点は無い。

例えば直径と光度はアルクトゥルスが圧倒的に上回っており、もはや同じ質量の恒星のようにはとても思えない。

そして、ここで表面温度と年齢に着目していきたいと思う。

リギル・ケンタウルスの年齢は48.5億歳と太陽と比較してもそこまで大差があるわけでは無く、更に妙面温度も太陽とほとんど同じ程度である。

けれどもアルクトゥルスの場合は表面温度がかなり低温となっている上に年齢も相当高齢である。

 

このことがアルクトゥルスの異常なまでの光度の原因となっており、アルクトゥルスの状態は太陽のような主系列星とは異なり、既に巨星の段階に達しているのである。

そして、先ほども書いたようにアルクトゥルスは低質量の恒星であり、低質量の恒星は中心部で水素の核融合反応が停止すると核融合が発生する領域が恒星の外側に移っていき、そのため直径は元の姿とは比較にならないほどの大きさとなり、1億キロメートルをもこえるほどといわれている。

そのため恒星の明るさは主系列星時代と比較すると異常なほどの明るさとなり、絶対等級もマイナスを軽々と超えることとなり、もはや元の恒星の原型を留めることは無いと言っても過言ではない。

更にこの時、恒星の中心核では核融合反応は停止しているが圧力と温度はその間もどんどん上がっていき、やがて中心核では今まで見られなかったような核融合反応が起こることとなる。

素の核融合反応とはヘリウム原子核3つが炭素原子核1つになるものであり、この核融合反応が発生すると安定化することによりいったん大きさが縮まり、太陽の15倍程度の大きさとなると考えられている。

この時の状態こそが今のアルクトゥルスの状態であると言っても過言ではなく、いったん縮まったと言っても直径は主系列星時代と比較してもかなり大きいので光度は主系列星時代の時と比較してもかなり大きい。

 

そのため、アルクトゥルスの光度は質量が小さいにもかかわらず非常に明るくなっており、質量的に見てもリギル・ケンタウルスは22.5億年後にはこのような姿となり、非常に明るい光度を放つことになるであろう。

勿論太陽も将来的にはアルクトゥルスのような状態となり、このようになってしまうと生命体はもはや住めない状態となり、アルクトゥルスこそが恒星が巨星化するという証拠になっていると言っても過言ではない。

 

ちなみに質量が大きい恒星の場合だと低質量星と比較しても光度が大きく増すわけでは無く、その理由は元の恒星の光度が非常に大きいことが原因であり、現に太陽の3.8倍の質量を有する主系列星のレグルスの光度はアルクトゥルスよりも大きい。

 

このようなこともあり、低質量星の場合は質量が小さい≠暗いというわけでは無く、年齢によって決まっていると言ったほうが正しいのである。

 

 

 

以上、アルクトゥルスについてでした。