DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

日本から見える最も絶対等級の強い恒星を1等星のある場所に置くと...

今回は日本から肉眼で見える最も絶対等級の強い恒星について書いて行きたいと思う。

日本から見える肉眼で見える恒星の中で最も遠い恒星は以前、極超巨星の記事で挙げたカシオペア座ρ星である。

そして、この恒星は地球からの距離が10,000光年以上も離れており...

 

 

1. 最も明るい恒星、カシオペア座ρ星

日本から肉眼で観測することが可能な恒星の中で最も絶対等級が強い恒星はカシオペア座に位置しているρ星であり、この恒星には固有名は特についていない。

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カシオペア座はW型を形成していることで有名であり、左からε星(セギン), δ星(ルクバー), γ星(ツィー), α星(シェダル), β星(カーフ)となっており、明るさ順だと普段はギリシャ文字順となっているがγ星は爆発的に明るさを変えるのでγ星が一番明るくなることもしばしばある。

そして、カシオペア座のW型を除いた恒星の中で最も明るい恒星はη星のアキルドであり、この恒星は太陽と非常に酷似した姿をしている。

アキルドについては以下の記事を参照していただきたい。www.rigelultragiant.com

 

 

そして、カシオペア座ρ星はβ星のカーフの右隣に位置しており、地球からの明るさは4.51等程度と肉眼で観測することは難しいが光の無い所では観測することは極端には難しくない。

また、この恒星の特徴としては距離がとてつもなく遠いことであり、2日前に挙げた2,000光年以上も離れているぎょしゃ座ε星とは比較にならないほどである。

どれほど遠いかというと10,000光年以上も離れており、今見ているカシオペア座ρ星の姿は一万年以上も昔の姿であり、日本から見える恒星の中で10,000光年以上離れている恒星はカシオペア座ρ星以外にははくちょう座P星, ふたご座3番星程度しかない。

恒星の距離は年周視差を用いて測られており、年周視差が小さい恒星ほど距離が遠い。

そして、カシオペア座ρ星の年周視差はと言うと約0.28 ミリ秒と極めて小さく、ミリ秒とは1度の60分の1の60分の1の更に1,000分の1に相当する。

ちなみにシリウスの年周視差は379.21 ミリ秒とかなり大きく(それでも相当小さいが)距離は8.6光年程度と計算できるがカシオペア座ρ星の場合はシリウスの1,000倍以上も遠い11,648光年と推測されている。 

この距離は肉眼で観測できる恒星の中では4番目に遠く、ふたご座3番星(14,181光年), りゅうこつ座y星(12,544光年), はえ座θ星(12,544光年)に次ぐ。

ここで、りゅうこつ座y星とはえ座θ星の距離が同じになっているがこの距離は年周視差から求めたものであり、更に年周視差は1ミリ秒以下となると計測が相当困難になるので距離も細かくは出せなくなる(ちなみに両恒星共に南半球にあり、東京からは観測することは不可能である)。

なのでこれらの距離には誤差が相当出ていると推測できるがこの話となるとこれ以上議論できなくなるのでカシオペア座ρ星の年周視差は0.28ミリ秒、つまり距離が11,648光年離れているとする。

※この年周視差は1997年、2007年に計測されたものであり、両者ともに同じ値なので信憑性は高いとみられる。ちなみにWikipediaでは8,200光年程度と書かれている場合もあるがこの距離は1990年に算出されたものであるのでそこまで信憑性は高くないと見られる。

 

このようにカシオペア座ρ星は距離に関してはふたご座3番星よりも近いものの絶対等級に関してはふたご座3番星よりも明るく、太陽の17万倍も明るいマイナス8.25等もある。

この絶対等級は肉眼で観測できる恒星の中ではりゅうこつ座y星に次ぐほどであり、りゅうこつ座y星は先ほども書いたように東京から観測することが出来ないので東京から観測できる恒星の中ではカシオペア座ρ星が最も絶対等級の強い恒星である。

 

 

 

2. 1等星の位置に置いたときの明るさ

カシオペア座ρ星は日本から見える恒星の中では最も絶対等級の強い恒星であり、更に距離も10,000光年よりも遠い。

当然これほど明るい恒星を1等星の位置に置いたらとてつもなく明るい恒星として観測されることとなるが実際にどれほどの明るさとなるのだろうか?

 

2.1 デネブの位置に置いたとき

1等星で最も遠い恒星はデネブであり、地球からの距離は1,411光年も離れている。

この距離は他の1等星の追従を許さないほどであり、二番目に遠いリゲルよりも500光年以上も遠い。

しかし、カシオペア座ρ星と比較すると非常に近く、カシオペア座ρ星の8.25倍も近い。

では、カシオペア座ρ星を地球から近いデネブの位置に置いたときの明るさはどれほどになるかというとマイナス0.07等と同じ夏の大三角形にあるベガよりも明るくなり、全天の恒星の中でも4番目に明るくなるほどである。

このようになると相対的にアルタイルが悲惨なこととなり、現在夏の大三角形で2番目に明るいアルタイルも結果としてワーストに落ち、明るいことで有名なベガも2番手に落ちることとなる。

ちなみにカシオペア座ρ星の表面温度はデネブと比較すると低温であり、デネブは青白く見えるがカシオペア座ρ星の場合は黄色く見えるので色的にも結構な変化が起きる。

 

では、反対にデネブをカシオペア座ρ星の位置に置くと5.83等にまで光度が落ちることとなり、デネブの光をもってしても11,648光年の遠さにはかなわないのである(一応肉眼で観測することは可能なので負けたとも言い難いが...)。

 

 

2.2 リゲルの位置に置いたとき

デネブと言えばリゲルと言われるほどリゲルは明るいことで有名であり、地球からの距離は863光年も離れており、この距離は先ほども書いたように1等星の中では(正確にはリゲルは0等星だが)デネブの次に遠い。

そして、実際にリゲルの位置にカシオペア座ρ星を置くとマイナス1.14等とシリウスほどでは無いがカノープスよりも余裕で明るく、全天で二番目に明るい恒星となる。

また、リゲルはオリオン座の右下に輝いており、シリウスと比較的近くに見えるために全天で最も明るい恒星と二番目に明るい恒星が非常に近距離で見えることとなるので冬の星空がますます目立つことになる。

ちなみに表面温度はリゲルのほうが2倍ほども高い上にシリウスに次ぐほどの明るさとなるので色の違いははっきりと分かるようになる。

更にリゲルは「源氏星」と呼ばれている恒星であり、実際に源氏は平家に勝っているので源氏と平家の勝敗がより分かりやすくなるであろう(ベテルギウスは平家星)。

 

一応リゲルもカシオペア座ρ星の位置にもっていくと肉眼で観測することは可能ではあるがデネブよりも若干明るい程度にしか見えない。

 

 

 

2.3 カノープスの位置に置いたとき

カノープスは全天で二番目に明るい恒星であり、絶対等級も非常に強力ではあるがリゲルやデネブと比較すると劣っていると言わざるを得なく、更に距離も309光年とかなり近い。

逆に距離が近いということは同じ明るさでもリゲルに位置に置いた時よりも明るく見えるということでもあり、カシオペア座ρ星をカノープスの位置に置くとマイナス3.37等とリゲルの位置に置いた時とは比較にならないほどの明るさとなり、シリウスの明るさも余裕で超えている。

実はカノープス程度の距離であるとリゲルやデネブ程度の明るさでもシリウスの明るさを優に超えることとなり、絶対等級が更に明るいカシオペア座ρ星ともなるとシリウスを軽々と超えるようになることは想像するまでも無い。

そして、シリウスよりも2等近くも明るいカノープス(カシオペア座ρ星)は南に位置しており、日本からは観測することが困難な位置に位置してようとも日本からも認知されるようになり、知名度も格段に上がることは想像に難くない。

また、余談ではあんるがカシオペア座ρ星の明るさがシリウスと同じ明るさとして観測されるには742光年ほど離れていればよく、この距離はリゲルとデネブ以外の1等星(19個)が全て収まるほどの距離である。

 

反対にカノープスをカシオペア座ρ星の位置に持っていくと7.16等と肉眼で観測することは不可能となり、肉眼で観測することが可能となるには絶対等級がマイナス6.264等は必要となってくる。

 

 

2.4 近隣の恒星に置いた場合

ここからは話を手短にしていきたいと思う。

地球から近隣の恒星(100光年以内)にカシオペア座ρ星を置くとマイナス5等は超えるほどとなり、全天の他の恒星の追従を許さない形となることは容易に想像がつく。

そして、100光年以内の恒星の位置に置いた場合の明るさはと言うと...

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このようになり、いずれの場合も極端に明るくなるが最も近い恒星であるリギル・ケンタウルスの位置に置くと満月の明るさをも驚愕する明るさとなり、常に満月以上の明るさを持つ恒星が夜空に表れることとなる。

これほどの明るさを持つ恒星が現れると渡り鳥のルートなどが狂うこととなり、更に他の動物にも悪影響が出ることとなるであろう。

まあ、リギル・ケンタウルスは東京からは見えないので東京からは気づくことは無いと思うが...

 

しかし、シリウスの位置に持っていくとあまりにも明るく、更に日本からでも観測することが可能となるので他の恒星が相対的に目立たなくなり、更にここまで明るいと光害影響すら出そうである。

 

このように全天で最も明るい恒星を最も近い位置に持ってくると異常な明るさとなり、明らかに悪影響が出そうであるが極端に明るい恒星の数はこれまた極端に少ないのでこのような光景は今後もまず見られないと思われる。

 

 

 

以上、絶対等級の最も強い恒星を1等星の位置に持って行ったならばどのようになるかについての話でした。