DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

鉄と銅の違い 原子番号は似ているが

 

今回は鉄と銅の違いについて書いて行きたいと思う。

 

1. 鉄と銅の違い

鉄と銅は古代から使用されている金属であり、今日でも数多くの用途で使用されている。

しかし、鉄と銅は古代から使用されている金属ではあるが相違点も数多くある。

初めに錆びさすさとイオン化傾向について書いて行きたいと思う。

 

1.1 イオン化傾向

金属の錆びやすさはイオン化傾向と呼ばれるものに依存しており、このイオン化傾向が大きければ大きいほど錆びやすいと言える。

ここでイオン化傾向の一覧を書いて行くと

Li>K>Ca>Na>Mg>AlZnFeNiSnPbHCuHgAgPtAu

のようになっており、鉄のイオン化傾向は銅と比較するとかなり大きくなっている。

つまり、鉄は銅と比較すると錆びやすい傾向があり、鉄よりも錆びにくいが銅よりも錆びやすい元素にはニッケル, 錫, 鉛, 水素が含まれている。

ここで重要となってくることは水素よりも錆びにくいことであり、例えば塩酸に銅を混入しても銅は溶けない。

このことは酸の中に多量に含まれている水素イオンのほうが銅よりもイオン化傾向が大きいから反応が起こらないのであり、イオン化傾向が大きいということはイオンになりやすい、つまり水素は銅よりもイオンになりやすいのでイオンの状態のままで存在することとなる。

けれども鉄の場合は水素よりもイオンになりやすいので水素イオンが多量にある溶液に混入すると水素イオンは脱イオン化することで水素分子となり、逆にイオンになりやすい鉄はイオン化するのである。

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反応は上図のように起こり、最終的にはイオン化し易い物質がイオンになると覚えておけば覚えやすくなる。

つまり、鉛以上にイオン化傾向が大きい元素は塩酸と反応し、銅以上にイオン化傾向の小さい元素は塩酸と反応しないのである。

 

けれどもこれは塩酸には酸化作用がないために起こる現象であり、硝酸や硫酸のように酸化作用のある酸の場合はイオン化傾向だけで反応が決まるわけでは無い。

例えば硝酸水溶液に銅を混入すると銅は硝酸銅となりイオンと化すと同時に一酸化窒素と水も発生する。

この反応は以下のようになっており、単純にイオン化傾向の大きさの違いではなく、硝酸の酸化力によって起こる反応である。

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なお、鉄は濃硝酸とは不働態を形成するので反応はせず、希硝酸とは普通のイオン化傾向による反応と硝酸の酸化作用による反応の2種の反応が起きている。

 

 

1.2 硬さと密度, 融点沸点

銅と鉄の違いは他にも硬さがあり、鉄のほうが硬い。

そして、この時用いる硬さの違いは「モース硬度」と呼ばれる指標を用い、モース硬度は1~10まで存在する。

実はモース硬度はそこまで厳密な値を示しているわけでは無く、「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」を表しており、物質の表面の傷のつきにくさを相対的に表わしているだけに過ぎない。

そのため、同じモース硬度でも同じ硬さと言う訳ではなく、更に衝撃に対する強さを表しているわけでは無いのでモース硬度が強くても衝撃に弱いものもある。

とまあ、ここまではモース硬度の概要について書いてきたが実際に鉄と銅のモース硬度について書いて行きたいと思う。

鉄のモース硬度は4であり、実はそこまで硬いわけでは無いが銅の場合は3しか無いために鉄のほうが銅よりも一応硬いのである。

一応これは先ほども書いたように表面の傷のつきにくさを表した指標であるので鉄と銅でこすり合うと銅のほうがより傷つくのである。

ちなみにモース硬度は1→2よりも9→10のほうが大きさの差が大きいので鉄は銅よりも硬いと言えども全物質から見ると意外にも傷つきやすいほうであり、モース硬度が10の物質はダイヤモンドである。

 

ここまで書くと鉄のほうが傷つきにくい物質であることが分かったが密度のほうはどのようになっているのだろうか?

鉄と銅は両者ともに遷移金属であるので密度は高く、鉄の密度は7.8 g/㎤とかなり大きくなっている。

では、銅のほうはどのようになっているかというと9 g/㎤近くもあり、銅のほうが密度は大きいのである。

このことより銅は鉄よりも傷つきやすいのにも関わらず密度は大きいために鉄と比較すると武器には適しておらず、古代には銅製の武器があったが銅を用いること自体が間違っているのである。

まあ、金や鉛と比較するとかなりましではあるが...

 

ここまでは密度と硬さについて書いてきたが融点や沸点はどのようになっているのだろうか?

その答えは簡潔に言うと鉄のほうが融点や沸点は高く、鉄と銅の融点と沸点は以下のようになっている。

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ちなみに鉄は8族(鉄, ルテニウム, オスミウム), 銅は11族(銅, 銀, 金)に属しており、11族は遷移金属の中では融点や沸点が比較的低い傾向があり、更にモース硬度も低い(実は銅のモース硬度は11族の中では一番高い)。

 

 

1.3 原子番号と電子配置

最後に原子番号と電子配列について書いて行きたいと思う。

鉄の原子番号は26、銅の原子番号は29番であるので電子の数も中性の場合であると原子番号と同じである。

そして、電子配列は以下のようになっている。

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鉄と銅の違いは3d軌道と4s軌道にあり、他の軌道の電子配置は共通しており、これらの電子配置は特に反応性には影響を及ぼさない。

つまり、銅と鉄の化学的な違いは3d, 4sの違いが原因であり、エネルギー的には3d軌道よりも4s軌道のほうが安定しているがその差はわずかであるため場合によっては3dのほうに多く電子を入れたほうが安定する場合もある。

これは上記の銅の場合で言え、銅の3d軌道はすべて埋まっているが4s軌道が1つだけ空いているのでまだ3d軌道に関する反応は起こり、2価の陽イオン化となった場合は3d軌道に空が生じる。

そのため、銅は遷移金属特有のイオンに色がつくという現象が起こり、銅の2価のイオンは水と水和すると青色に見えることで有名である。

 

 

 

2. 銅と鉄の雑学

先ほどまでは銅と鉄の違いについて書いてきたが今度は雑学を少し書いて行きたいと思う。

  • 銅は占星術では金星を表しており、金星の記号である♀は銅を意味することもある。
  • それに対して鉄は火星を表しており、火星の記号である♂は鉄を意味することもある。
  • 銅の電気伝導性は銀に次ぐほどであり、価格も安いので導線として最も使用される。
  • 銅の埋蔵量は鉄と比較すると少ない
  • 銅の同位体の質量数は63(中性子数34)と65(中性子数36)が安定である
  • 鉄の同位体の質量数は56(中性子数30)と57(中性子数31)と58(中性子数32)が安定であり、その中でも鉄56は大質量星の最終生成物となる
  • 鉄は強磁性であるが銅は反磁性である

 

 

以上、鉄と銅の違いについてでした