DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

超巨大な赤色超巨星 ケフェウス座μ星

今回はケフェウス座μ星について書いて行きたいと思う。

ケフェウス座μ星は地球から見ると4等星程度と大して明るい恒星では無いが実はとてつもなく巨大な恒星であり、絶対等級も信じられないほど強い。

 

1. 赤色超巨星とは

赤色超巨星は質量の大きな恒星の最期の姿であり、赤色巨星には見られないような反応が起きている。

そして、直径も赤色巨星よりも大きく、赤色巨星の代表例であるアルデバランの直径が太陽の44倍程度に対して赤色超巨星で有名なアンタレスの直径は10億キロほどもあると言われており、地球軌道はおろか火星軌道を余裕で飲み込むほどである。

しかし、アンタレスとアルデバランでは相対的な年齢も大きく異なり、アルデバランスペクトル型はK5であるため死に際と言う訳ではないがアンタレスの場合だとM1ともはや恒星としては最期の姿となっており、中心核にはおそらくではあるがケイ素まで生成していると考えられる。

ここでスペクトル型について簡単に書いて行きたいと思うがスペクトル型は表面温度が高い順からO, B, A, F, G, K, Mとなっており、K型だとまだ表面温度はいくぶんか高いがM型の場合だともはやこれ以上低い所は無く(厳密にはL型があるが)質量が20倍以下の恒星はM型に向かって進むのである。

つまり、アンタレスのスペクトル型はM型であるのでもはや超新星爆発を待つのみとなっているがアルデバランの場合だとまだK型であるので今後も膨張し続けると考えられ、直径も最終的には太陽の数百倍程度になると考えられる。

けれどもアルデバランの場合だと質量が太陽の1.7倍ほどとかなり軽量であるのでヘリウム→炭素, 酸素核融合の段階で停止し、それ以上の元素は生成されることも無く、最終的には炭素, 酸素型の白色矮星となる。

しかし、アンタレスは太陽の12.6倍もの質量を有しているので中心核に鉄原子が出来るまで核融合反応を続け、鉄原子が生成したらもはや新しい元素は生成されないために超新星爆発を起こし、中性子星と化す。

 

このように赤色超巨星の場合は赤色巨星とは異なり、核融合反応が深くまで進行し、この理由は中心核の圧力と温度に起因している。

そして、中心核の圧力と温度は恒星の質量に比例しており、質量が大きいほど大きくなるので赤色超巨星か赤色巨星化のボーダーは質量に起因している。

そのため、どんなに直径が大きくなったとしても質量が太陽と大差がない場合には赤色超巨星となることは決してなく、あくまで「赤色巨星」のままなのである。

この例としてはくじら座のミラが挙げられ、ミラは年齢が60億歳程度の赤色巨星であり、直径は太陽の数百倍もあるため絶対等級も相当強いが質量は太陽の1.2倍程度しか無く、更に赤色超巨星と比較すると絶対等級も弱い。

 

ちなみに赤色巨星と赤色超巨星の間には赤色輝巨星があり、これらの恒星の絶対等級は可視光だけでマイナス2~3.8等ほどで例としてはヘラクレス座のフダイル(π Her, 3.15)やわし座のタラゼド(γ Aql, 2.73)、みなみの三角座のアトリア(α TrA, 1.91)などがある。

 

 

 

2. ケフェウス座μ星

ここからは赤色超巨星の中でもとりわけ明るい恒星であるケフェウス座μ星について書いて行きたいと思う。

ケフェウス座μ星は地球から見ると平均して4.23等程度しか無く、決して明るい恒星では無いがこの恒星には大きな特徴が3つもある。

その大きな特徴とは

  • 極端に明るい絶対等級
  • かなり低い表面温度
  • とてつもなく大きい直径

であり、実際にこの恒星は極めて赤く見え、更に地球からの距離も異常に遠い。

どれほど遠いかというと年周視差が0.55 mas (0.55ミリ秒)しか無く、この年周視差の小ささはこの恒星が地球から5,930光年も離れていることを意味している。

これほど遠い恒星は地球から肉眼で観測できる恒星の中でもまれであり、遠いことで有名なデネブの4倍以上も遠い。

しかも絶対等級もとてつもなく明るく、これほどの距離も離れているのにもかかわらず最輝時には3.43等にまで明るくなり、なんと3等星にまで割り込むほどである。

そして、この恒星は3.43~5.10等までを複雑な周期で変光しており、絶対等級は可視光だけでもマイナス6.20~マイナス7.87等まで変光していることとなる。

マイナス7.87等と言うと太陽の明るさに換算すると12万倍に匹敵する明るさであり、これ以上に可視光の強い恒星は肉眼で見える中ではカシオペア座ρ星(マイナス8.25等)とりゅうこつ座y星(マイナス8.34等)しか無く、これらの恒星も非常に高齢な状態となっている。

しかもこの明るさは可視光だけのものであり、総合的なエネルギー量はマイナス9等を超えているほどと言われている。

 

ちなみにアンタレスの可視光絶対等級はマイナス5等を若干超えているほどであり、同じ赤色超巨星でも明るさは雲泥の差である。

その理由はスペクトル型と質量に関係しており、アンタレスの質量はたがたが太陽の12.6倍程度であるがこの恒星は太陽の19.2倍もあると言われており、更にアンタレスのスペクトル型はM1.5Ⅰbであるのに対してこの恒星はM2Ⅰa型と上位の超巨星のものとなっている。

このスペクトル型はリゲルやデネブのような極端に明るい恒星のみに見られるものであり、これらの恒星の絶対等級は最低でもマイナス6.6等はあると推測されている。

そして以前も書いたが筆者はこれらの超巨星(Ⅰa型)のことを「ウルトラジャイアント」と呼んでおり、等ブログの「rigelultragiant」というURLもここから来ている。

言うまでも無いがリゲルはウルトラジャイアントに分類されており、地球から見て最も明るいウルトラジャイアントである。

 

以上のことよりケフェウス座μ星はリゲルやデネブと同じウルトラジャイアントであるので極めて明るく、更に老化に老化を重ねているために絶対等級は更に底上げされている。

そして、この恒星は直径もとてつもなく大きく、以前も紹介したが太陽の1,260倍もあり、その大きさは木星軌道よりも大きい。

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太陽とデネブの比較。太陽は左側にある小さな級であり、デネブは巨大な水色の球である。

実はデネブとケフェウス座μ星は質量が似ており、デネブが100万年ほど経つとケフェウス座μ星のような恒星になると考えられている。

では、ケフェウス座μ星がどれほど大きいかというと...

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赤い巨大な球がケフェウス座μ星であり、先ほどまで太陽を圧倒していたデネブ(水色の球)もこの恒星と比較するとものすごく小さい。

そして、背景の楕円は太陽系の惑星の軌道であり、内側から水星, 金星, 地球, 火星, 木星, 土星であり、内惑星は勿論のこと木星軌道よりも巨大であることが分かる。

 

このようにケフェウス座μ星は非常に巨大な恒星であるが巨大であるということは非常に膨張しているということであり、そのため表面温度は非常に低くなっている。

どれほど低いかというと3,400℃程度であり、この温度は太陽よりも2,100℃ほども低い。

そして、表面温度が低いということは赤色に見えるということであるのでこの恒星は非常に赤く、そのため本来なら「エラキス」という固有名があるのにもかかわらず「ガーネット・スター」と呼ばれている。

 

また、この恒星もアンタレスと同等か更に高齢化が進んでおり、近い将来超新星爆発を起こし、中性子星となると予想される(ブラックホールになるような恒星は通常赤色巨星とはならない)。

 

ちなみにこの恒星はケフェウスの五角形の下に位置している。

f:id:DS930810:20180210215848j:plain上画像の五角形がケフェウスの五角形。その下のマーカーがケフェウス座μ星。

 

 

 

以上、ケフェウス座μ星についてでした。