DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

不活性ガスとは? そして大気中の窒素と入れ替えると...

今回は不活性ガスについて書いて行きたいと思う。

不活性ガスとは他の物質と反応をすることがほとんどない物質のことであり、一般的には18族の元素がこれに属しているが18族以外にも不活性なガスはある。

 

1. 二分子以上の不活性ガス

不活性ガスと聞くと反応性の小さなガスであり、一般的には単原子分子であるヘリウムやネオンのことを指すことが多いが実は単原子でなくても不活性なガスは多くある。

その中でもとくに有名なものとしては窒素と二酸化炭素があり、これらのガスの反応性は非常に小さい。

特に窒素に至っては大気中の78%の量を占めており、窒素が周りにあっても特に有毒ではない理由は窒素の反応性が低いからであり、窒素を呼吸で吸ったとしても反応をしないのでそのまま外に出されることとなる。

また、二酸化炭素も反応性が低く、燃焼反応が起こった後などに生成することが多く、この理由は二酸化炭素が安定しているからである。

一般的に安定している物質は化学反応の後に生成されることが多く、逆に反応性が小さいために化学反応を起こすことは極めて少ないので外気に触れたくはないが圧力が必要な環境を作りたいときに使われることが多い。

 

ここまでは複数分子を含む不活性化ガスについて書いたが次はこれらのガスについて個別に書いて行きたいと思う。

 

1.1 窒素

窒素は空気中に最も含まれているガスであり、そのため最も身近な不活性ガスとも言える。

空気中にある窒素ガスは窒素分子と言う形を取っており、このガスは二つの窒素分子が三重結合という形で結合形態を取っている。

実は分子内に三重結合だけを有している分子は窒素分子だけであり、三重結合は一般的には非常に強力な結合であるので窒素分子の反応性は非常に小さくなっている。

けれども三重結合は珍しいかというとそういう訳でもなく、アセチレン(C2H2)やシアン化水素(HCN)なども三重結合を含んでいるがこれらの分子には三重結合以外にも単結合が含まれている。

しかし、これらの物質は反応性が無いかというとそうではなく、アセチレンの場合は炭化水素であるため逆に三重結合が反応性を高め、シアン化水素の場合は水素-炭素単結合間で反応が良く起こる。

つまり、「三重結合を有している=反応性が低い」わけでは無く、窒素のように三重結合だけの分子の反応性が小さいのである。

 

また、窒素がこのような分子形態を取っているので窒素族(15族)の分子がこのような気体を形成するかというとそうではなく、窒素よりも一段低い所に位置しているリン(P)は二原子分子を形成することは無く、赤燐や黄燐などの固体を形成し、それ以上の元素(砒素, アンチモン, ビスマス)などは金属に近い形態となる。

要するに窒素のような形態をとる元素は周期表の中では窒素だけであり、そのため窒素のように単原子でもなければ複数種類の原子を含まない三重結合を有する気体は他にはないのである。

 

ちなみに窒素のように同じ原子同士が2つ結合する形態を取る元素は窒素以外にも酸素やフッ素があるがこれらの結合は窒素の結合よりも弱いので反応性は高くなっている。

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このように窒素, 酸素, フッ素は全て二原子分子ではあるが結合の強さは全く異なり、三重結合の窒素の結合は極めて強くなっているが酸素の結合力は窒素よりも弱く、燃焼が起こったり生体内で反応が起こったりする。

そして、フッ素ともなると酸素よりも反応性が更に強いために生物に取っては有毒となっており、これは他の17族元素でも同じことがいえる。

 

 

1.2 二酸化炭素

二酸化炭素も反応性が低く、燃焼をした後に残る印象が強いが実は窒素よりかは反応性が強い。

例えば二酸化炭素が関係している反応としてはマグネシウムの二酸化炭素中での燃焼や光合成などがあり、二酸化炭素はマグネシウムと一緒に燃やすと酸素がマグネシウムと結びつき、そして余った炭素が単体として析出する。

また、二酸化炭素は光合成で消費されることで有名であり、光合成反応が起こると二酸化炭素と水は酸素とデンプンに変わることで有名である。

そのため、二酸化炭素の反応性が窒素ぐらいに小さくなると当然光合成も起こらなくなり、二酸化炭素の反応性が無ければ地球に生物が繁栄することも無く、酸素を生命活動に用いないごく一部の微生物しか残らなったと考えられる。

けれども二酸化炭素は全物質中の中で反応性はトップクラスに小さく、燃焼することも無ければ金属と結合してさび付いたりすることも無い。

まあ、金属との反応では酸化物と反応して炭酸塩を形成することもあるので全く反応しないと言う訳でもないが...

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このように二酸化炭素は金属酸化物と反応することで有名であり、炭酸塩を形成する。

また、酸化物だけではなく水酸化物とも反応をすることもあり、代表的な例としては石灰水(水酸化カルシウム)と二酸化炭素が反応することで炭酸カルシウムが形成することが挙げられる。

 

以上のことより二酸化炭素は反応性が低いガスではあるが意外なほど多くのガスと反応しており、ここで書くことがおかしなぐらいに反応性があるのである。

 

 

 

2. 窒素を18族元素に置き換えると

先ほどまでは窒素や二酸化炭素のように複数原子による不活性ガスについて書いたが今度はこれらのガスを18族元素に置き換えた時に起こる問題について書いて行きたいと思う。

窒素ガスは不活性であるのでヘリウムやネオンと置き換えても良いようにも見えるが実際に置き換えてみると思った以上の問題が発生する。

例えば空気中にある窒素を全てヘリウムに置き換えると大気圧が激減することとなる。

何故なら窒素とヘリウムでは質量が大きく異なり、ヘリウム原子の質量は窒素分子の7分の1程度しかないからである。

そのため窒素分子を全てヘリウム原子に置き換えると大気圧を1,013 hPaとおくと

1013×0.78÷7 + 1013×0.22 ≒ 335.7 hPa

にまで大気圧が減少し、この大気圧は現在の大気圧の3分の1程度であり、これはちょうどエベレストの山頂と同じ程度である。

そして、ここまで大気圧が減少すると悪影響が多く出ることとなり、例えば水の沸点がエベレストの山頂並みに降下したり、また大気の78%がヘリウムとなっているため浮力も相当小さくなり、気球などが飛ぶことも決してなくなる。

勿論これ以外にも悪影響は多く出てくることとなり、この状態ではもはや生物が暮らしていくことはできなくなる。

 

では、ここで窒素をヘリウムに置き換えた状態で大気圧を現在の1,013 hPaにまで上げていきたいと思う。

このようにするには勿論ヘリウムの量を増やせばよいわけであるがそうするとヘリウムの量は現在の窒素の量の7倍は必要となり、そのようにすると酸素濃度はわずか3.7%にまで落ちる。

こうなるともはや呼吸することが不可能となり、このようになるとヘリウムはある意味では窒素以上に「窒」素をしているとも言える。

 

また、反対にキセノンのように質量の大きなガスに置き換えると逆に大気圧が高くなることとなるが浮力は今まで以上に得ることができ、口で息を吹き込んだ風船でも空に浮かぶこととなる。

けれども今度は酸素の分圧が減少し、こちらはこちらで悪影響が出ることとなる。

ちなみにヘリウムの場合は声が高くなるがキセノンの場合は声が低くなる。

 

このように不活性ガスでも質量は大きく異なり、完全に窒素と入れ替えるのは窒素と質量がほぼ同じのガスにしなければならないが残念ながら不活性ガスで窒素と似たような質量のガスは存在しないので窒素を他のガスと置き換えることは不可能である。

 

 

 

以上、不活性ガスについてでした。