DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

最も遠いα星 超新星後はブラックホールに

今回は最も遠いα星について書いて行きたいと思う。

α星は基本的に星座内で最も明るい恒星のことではあるが一番明るくないものも多く含まれており、意外にも最も明るくないα星は多い。

そして、今回紹介するα星も星座内で最も明るくなく、三番目に明るいが...

 

1. 最も遠いα星

α星と聞くと非常に明るく、全天で最も明るいシリウスや二番目に明るいカノープスはα星であり、この二つの恒星の明るさは二番目に明るい恒星を寄せ付けないほどの明るさである。

けれどもα星の中には一番明るくないものも多く含まれており例えばオリオン座のベテルギウス(0.42)はβ星のリゲル(0.13)よりも暗く、ふたご座に至ってはβ星のポルックスが1等星(1.14)でα星のカストルが2等星(1.58)であるほどである。

そして、恒星の距離は近いものもあれば遠いものもあり、一番近い恒星であるリギル・ケンタウルスまでの距離はわずか4.37光年であるがカシオペア座ρ星という恒星までの距離は10,000光年以上も離れているが肉眼で観測することは可能である。

勿論、10,000光年以上も離れていても肉眼で観測することが可能であるということは恒星自体の明るさも非常に明るく、カシオペア座ρ星の絶対等級はマイナス8.25等、つまり太陽の170,000倍も明るい。

このように太陽系からの距離が遠いのにもかかわらず肉眼で観測できる恒星は例外なく明るく、最も遠い1等星であるデネブは太陽系から1,411光年も離れており、絶対等級はマイナス6.95等もある。

 

では、最も遠いα星は何座にあるかというときりん座と言うあまり聞きなれない星座にある。

きりん座は北天に位置している星座ではあるが明るい星は含まれておらず、最も明るい恒星であるβ星ですら4等程度の明るさしかない。

また、β星の次に明るいCS星(HD 21291)の明るさは4.22等であるがこの恒星にはギリシャ文字が含まれておらず、ギリシャ文字が含まれていない恒星がα星よりも明るいことを考えると星座の規模の小ささがうかがえる。

そして、α星はβ星, CS星の次に明るい恒星であり、地球からの明るさは4.26等と正直に言うとかなり暗めではあるが実はこの恒星の明るさは銀河系屈指の明るさを有している。

α星が銀河系屈指の明るさを有しているのにもかかわらずここまで暗くなる理由は先ほども書いたように地球からの距離が非常に遠いからであり、年周視差はわずか0.52ミリ秒しかない。

年周視差とは地球の軌道半径と恒星との距離の角のことであり、その大きさは両者の長さの差が極めて大きいことから非常に小さな値となる。

ここで話を角度に変えていきたいと思うが1度は直角の90分の1であり、1分は1度の60分の1、更に1秒は1分の60分の1であるので角度1秒は直角の324,000分の1となる。

更にミリは1,000分の1を表しているため直角の3.24億分の1となるので無いに等しいぐらいに小さくなる。

ここまで書くとミリ秒の大きさがいかに小さいことが分かるがこれだけ書くと何を言っているのかが分からなくなるので詳しくは年周視差の記事を参照にしていただきたい。

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ちなみに1ミリ秒は1,000パーセク、つまり3261.6光年に相当し、年周視差の大きさが小さくなればなるほど距離は遠くなり、0.52ミリ秒は3261.6を0.52で割ったものが距離となるので6272.3光年となる。

つまり、この距離がきりん座α星までの距離ということになるがここまで距離が遠い恒星は肉眼で見える恒星の中でもほとんどなく、二番目に遠いα星のデネブと比較しても4.5倍近くも遠い。

勿論ここまで距離が遠くても4.26等で観測ができるということは先ほども書いたようにこの恒星が銀河系屈指の明るさを持つからであり...

 

 

 

2. マイナス7等を超える輝星

最も遠いα星であるきりん座α星までの距離は6272.3光年、地球からの明るさは4.26等であるので絶対等級をここから算出していきたいと思う。

絶対等級の式は(地球からの明るさ)-5×log(恒星までの距離/10) (単位はパーセク)

で求めることができるので絶対等級は

4.26-5×log((1000/0.52)/10)≒-7.16

と算出できる。

この明るさは太陽の62,517倍にも及び、肉眼で観測ができる恒星の中では12番目に明るい。

 

また、この恒星のスペクトル型はO9Ⅰaであるので表面温度は極めて高く、全天で最も明るい恒星であると同時に最も熱い恒星でもある。

更にOⅠaと言うタイプの恒星は全恒星でも極めて珍しい部類に入っており、意味的には30,000 Kを超える非常に熱い恒星であると同時に超巨星の中でも非常に明るい部類にも入っている。

一般的にⅠa(高光度超巨星)タイプの恒星は表面温度がF型(熱くもなく冷たくも無い)に近い恒星のほうが上限が小さいという傾向にあり、最も高温であるO型の恒星はⅠa型には極めてなりにくい。

それにも関わらずきりん座α星がⅠa型である理由は絶対等級がべらぼうに強いということであり、このタイプの恒星は肉眼で観測できる中ではきりん座α星しかない。

 

それに加えて先ほど書いたマイナス7.16等と言う明るさは可視光だけのものであり、表面温度が高い恒星は可視光領域が小さく、ほとんどが紫外線となる傾向があるためこの恒星の総エネルギー量はマイナス7.16等を軽々と上回り、真の絶対等級はマイナス9.6等程度はあるのではないかと言われている。

 

しかし、直径のほうは太陽と比較してもそこまで大きくはなく、せいぜい太陽の33倍程度(45,936,000 km)とリゲルの直径と比較しても半分も無いほどである。

この理由はこの恒星の表面温度に関係があり、この恒星の表面温度は先ほども書いたように極めて高く、リゲルと比較しても2.5倍以上の32,000 Kもあるので単位面積当たりの放射量が極めて大きくなっているからである。

そのため、表面積が太陽の1,000倍強しか無いが単位面積当たりの放射量は太陽の数百倍にも及ぶために総合的な明るさは太陽の数十万倍にも及ぶ。

また、質量は太陽の31倍はあるともいわれており、質量だけ見ると100万年ほど後に極超新星爆発を起こし、ブラックホールとなる可能性もある。

 

この恒星と一番似ている恒星はオリオン座のアルニラムであり、アルニラムは以前にも書いたように表面温度が極めて高いにもかかわらず可視光絶対等級も非常に強烈であり、5,000光年以内に位置している恒星の中では可視光だけでもトップに上り詰めているほどである。

ちなみにアルニラムのほうがきりん座α星よりも若干高齢であり、アルニラムのほうが表面温度は低くなっているが直径はアルニラムのほうが大きくなっている。

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両者ともに水星軌道よりかは小さいが表面温度は極めて高い。

 

 

 

以上、最も遠いα星についてでした。

参照記事ですwww.rigelultragiant.com