DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

織姫星ベガ 全天で5番目に明るくそして自転も速い

今回はベガについて書いて行きたいと思う。

ベガはご存知の通り、織姫星として知られており、全天でもトップクラスに明るい星である。

また、明るいだけではなく...

 

1. 明るく輝くベガ

ベガはこと座の主星であり、地球から見た明るさの平均で0.03等とシリウス, カノープス, リギル・ケンタウルス, そしてアルクトゥルスに次ぐ明るさを有している。

そして、夏の恒星だけに限定すると最も明るい恒星であり、夏の星空を見上げ、最も明るい星は一瞬でベガであると分かる。

ベガがこれほどの明るさを有している理由はシリウスと同じく地球から近いからであり、地球からの距離はわずか25光年である。

けれども太陽をこの位置から観測するとお世辞にも明るい恒星とは呼べないぐらいに暗くなり、郊外でようやく観測することが出来るほどの暗さとなってしまう。

つまり、ベガの明るさは太陽と比較すると非常に明るく、絶対等級は0.60等と太陽の49倍ほどもあり、リゲルやカノープスのような強大な超巨星と比較すると微々たる明るさではあるが太陽系から10パーセク(32.6光年)以内の恒星では最も明るい恒星である。

10パーセク以内でベガの次に明るい恒星は意外にもシリウスであり、シリウスの次はフォーマルハウト, アルタイル, プロキオンの順に続く。

ここでアルタイルと表記したがアルタイルは絶対等級の面では10パーセク以内で4番目とそこまでは明るくなく、ベガと比較すると暗めの恒星ではあるがベガと対をなしている恒星であるので次の項ではベガとアルタイルを比較していきたい。

 

 

 

2. ベガとアルタイル

ベガとアルタイルは共にA型の主系列星であり、一見すると似ているようにも思えるが実際にはベガのほうが強力な天体である。

ベガは先ほど書いたように地球からは25光年ほど離れている恒星であるがアルタイルは16.7光年とベガの3分の2ほどしか離れていない。

けれども地球から見た明るさはベガが0.03等に対してアルタイルは0.77等とベガの半分ぐらいの明るさしかなく、アルタイルは地球からの距離が近いのにもかかわらずベガよりも暗い。

このことはアルタイルがベガよりも暗い恒星であるということを意味しており、実際にベガの明るさはアルタイルの4倍以上もある。

では、アルタイルとベガのデータをまとめていきたいと思う。

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このようにアルタイルのステータスはベガと比較すると幾分か小さく、直径ではアルタイルの平均は250万キロほどにたいしてベガの場合は360万キロほどもある。

ここで直径に2通りの数字があるがアルタイルとベガは非常に高速度で自転をしており、そのため赤道が遠心力によって膨らんだ楕円状となっている。

その速度は恒星が崩壊する限界近くにもなっており、ベガに至ってはあと6%速く自転をすると崩壊すると言われているほどである。

 

また、質量に関してもアルタイルのほうがずっと軽量であり、ベガの質量は他のサイトでは2.13倍程度しかないと書かれているがこの質量だとベガの光度は異常に明るいことになる。

何故ならベガは主系列星であり、主系列星は質量に比例する形で明るくなるが絶対等級が0.4等ほどの主系列星であるおおぐま座β星, γ星、そしてかんむり座α星の質量は2.6倍程度と言われているのに対して絶対等級が1.42等のシリウスの質量は2倍と言われているからである。

当然ベガはシリウスよりも絶対等級0.4等ほどの恒星のほうに性質が近く、そのため質量も2.6倍のほうに近いと考えられる。

このため、ベガの質量は2.5倍ほどであり、この質量であると絶対等級にも丁度当てはまる。

 

更に表面温度に関してもアルタイルのほうが低く、これも主系列星の表面温度は質量が大きいほど高くなると言う法則に当てはまっているだけであるが実際にはこれも平均の表面温度であり、実際には高速自転の影響で赤道付近と極付近では大きな差が生じており、ベガの極の温度は10,000 Kを超えている。

 

このように見るとベガとアルタイルはベガのほうが大質量の主系列星であり、このためベガのほうが明るくなっているが恒星は質量の大きなものほど寿命が短いため、ベガのほうが先に寿命が尽きる。

そして、ベガとアルタイルの明るさには比較的大きな差があるが実はベガとアルタイルの中間程度の明るさの非常に有名な恒星が存在する。

その恒星とはシリウスのことであり、シリウスの明るさはちょうどアルタイルとベガの中間程度である。

ここで言う中間とは倍数的に見て中間程度ということであり、アルタイルは太陽の10.7倍、ベガは49倍の明るさで輝いているため、倍数的な中間とは10.7×49の平方根となり、その大きさは大体23倍である。

そして、シリウスの明るさはまさに太陽の23倍ほどであるのでシリウスこそがアルタイルとベガの中間的な恒星と言える。

 

ここで、太陽, アルタイル, シリウス, そしてベガを図で比較していきたいと思う。

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このようになっており、直径だけならアルタイルはシリウスよりも大きいが表面温度が低いので光度はシリウスのほうが大きい。

そして、形状に注目するとアルタイルやベガは自転速度の影響が楕円型となっているがシリウスは円形である。

ここがシリウスとアルタイルやベガとの最大の違いであり、シリウスは高速自転をしていない。

このことについては次の章で書いて行きたいと思う。

 

 

 

3. シリウスとベガの違い

シリウスはアルタイルとベガの中間的な恒星と書いたが実際にはそこそこ異なり、シリウスはアルタイルとベガと決定的に違う点が2つある。

それは

  • 自転が遅い
  • たて座δ型の変光星ではない

ことであり、初めに前者について書いて行きたいと思う。

 

シリウスの自転は本来ならベガよりは遅いがアルタイルよりも速いはずであるが実際にはアルタイルの自転速度を軽く下回っているほどである。

この理由はシリウスに伴星があるからではないかと言われており、シリウスには質量の大きい白色矮星の伴星が存在する。

質量の大きな伴星が主星の近くを周っていると潮汐力と言われる力によって自転速度が遅くなり、結果としてシリウスは現在のような低速自転となっている。

また、シリウスはAm星と言う特殊な天体であり、このタイプの恒星は光の吸収が大きい金属元素が押し上げられ、代わりに他の元素が恒星内部に沈み込む形の恒星で、恒星の自転速度が遅い時のみ生じるものである。

このためシリウスの自転はベガやアルタイルと比較すると非常に遅くなっており、言うまでも無いがベガやアルタイルはこのタイプの恒星ではない。

そして、シリウス以外にもやぎ座γ星という恒星がこのタイプの恒星ではないかと言われており、この恒星の質量はベガと同じぐらいであるが自転速度はシリウスと同様にかなり遅い。

 

ここまでは自転の速度について書いたが、今度はもう一つの違いの変光型について書いて行きたいと思う。

アルタイルとベガはたて座δ型変光星と呼ばれるタイプの変光型を示しており、ベガはこのタイプの恒星の中では最も明るく、アルタイルはその次に明るい恒星である。

このタイプの恒星はアルタイルやベガ以外にはデネボラ(しし座β星)、カシオペア座β星、とも座ρ星、そしてたて座δ星などが知られており、これらの恒星はいずれもスペクトル型がA0~F5までの若めの天体であり、絶対等級はそこまで明るい恒星は含まれていない。

このタイプの恒星はスペクトル型A0~F5までの若めの天体全てに当てはまっているわけではなく、これらの恒星に属するシリウス, フォーマルハウト, おおぐま座β, γ星などはこのタイプの恒星ではない。

 

このようにシリウスは一見見るとアルタイルやベガに似ているように見えるが実際には大きく異なる点もあり、質量が似通った主系列星だからと言って全てが全て似ているわけではない。

 

 

 

以上、ベガ(とアルタイルとシリウス)についてでした。