DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

超巨星の明るさと質量 非超新星からブラックホール級まで

今回は超巨星について書いて行きたいと思う。

超巨星については今までの記事でも数多く話題にしてきたがここまで超巨星について書く理由は単純に筆者のお気に入りなだけであるのでご了承して下さい。

それはさて置き本題に入っていきたいと思います。

 

1. 超巨星とは

超巨星とひとまとめに行っても様々な明るさのものがあり、超巨星は名前だけ見ると非常に巨大な恒星のように思える。

けれども超巨星の定義は異なり、例えばくじら座のミラは非常に巨大な直径を持つものの質量に関しては太陽と大差がないため超巨星と呼ばれることは無く、単なる巨星である。

実際に太陽は63億年後に本格的に巨星化し、地球軌道近くまで迫ることとなり、光度も大きく上昇するが質量は現在よりも若干軽くなるために超巨星になることは決してなく、最終的にはミラのような巨星となり、やがて白色矮星となる道をたどるであろう。

ここまで書くと分かると思うが超巨星の定義はある程度の質量を持つ恒星が巨星化した姿であり、正確に言うとスペクトル線から導かれる。

例えば全天で最も明るいシリウスは主系列星に属しており、スペクトル線は細かくないがその次に明るいカノープスは超巨星であり、スペクトル線は非常に細かくなっている。

実際に主系列星であるシリウスのスペクトル線は結構大雑把で所々に黒い線が見られるが超巨星であるカノープスのスペクトル線は非常に細かく、黒い線も非常に細くなっている。

このため、超巨星のスペクトル線は非常に細かく、ここからどのような恒星であるかを見分けることが出来る。

 

そして、超巨星にも様々なものがあり、質量の軽い青色超巨星の直径は太陽の10倍程度のものも存在し、これは先ほど書いたミラよりもはるかに小さい。

また、絶対等級に関しても小規模な超巨星の中にはたがたがマイナス3等程度(=太陽の1,350倍ぐらい)のものもあり、これは大質量の主系列星よりも暗い。

このように超巨星=恒星界で最も明るいということは間違っており、超巨星の中にもかなり低規模なものはある。

まあ、太陽よりかは断然明るいが...

 

 

 

2. 低質量超巨星

では、ここからは超巨星について書いて行きたいと思う。

先ほども書いたように超巨星の中にも様々な大きさのものがあり、最も規模の小さい超巨星は太陽の5倍程度の質量しかない。

これほどの質量しかないと超新星を起こすこともできず、寿命が尽きた時は太陽と同じように白色矮星になるが太陽よりかは質量が大きいために核融合反応もマグネシウムの段階まで進み、最終的にはマグネシウム型の白色矮星となる。

そのことより、ここで言う低質量白色矮星とは超新星の起こせない超巨星のことを示しており、太陽の5倍から8倍の恒星のことを指している。

これらの恒星の主系列星時代のスペクトル型はB5~B2であり、表面温度は15,000~23,000 K程度である。

 

代表的な低質量超巨星はポラリス(北極星)であり、質量は太陽の6倍ほどである。

そして、ポラリスの絶対等級はマイナス3.64等であり、この明るさは太陽のおよそ2,400倍に匹敵し、更にスペクトル型はF8であるので表面温度は太陽とかなり近い。

そのため、直径はほぼ光度の平方根である太陽の47倍ほどもあり、キロメートルに換算すると6,500万キロとなるため、非常に巨大であることが分かる。

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地球と太陽の距離分だけ離れた所から見たポラリス。この画像から直径が非常に大きいことが伺える。

 

しかし、ポラリスはこれでも低質量超巨星であるので本格的な超巨星となるとポラリスの直径や光度を軽々と凌ぐことになる。

 

 

 

3. 普通の超巨星

これからは超新星爆発を起こすぐらいの超巨星について書いて行きたいと思う。

ポラリスのような低質量超巨星だと鉄56まで核融合反応が進行しないので超新星爆発と起こすことは無いが質量が8倍を超える超巨星の場合は話が変わる。

太陽の8倍以上の超巨星となると中心核の圧力や密度が凄まじいことになるので核融合反応がさらに進み、中心核の温度が30億Kほどに達すると鉄56が生成し、生成後はすぐさま超新星爆発を起こし、中性子の塊となる。

これほどの規模の超巨星となるともはや低質量と呼ぶほどのものではなく、ここでようやく普通の超巨星と呼べると言っても過言ではない。

しかし、スペクトル型の違いより更に上位の超巨星があるので普通の超巨星は太陽の8倍から15倍の恒星とここでは定義する。

ちなみにこれらの恒星の主系列星時代のスペクトルはB2~B0であり、表面温度は23,000~30,000 Kと非常に高温であり、太陽の4~5倍もある。

 

これらの超巨星の代表的なものとしては全天で2番目に明るく、そして最も近い超巨星(309光年も離れているが)であるカノープスや超新星爆発が迫るさそり座のアンタレスなどが当てはまる。

カノープスの表面温度は太陽よりも幾分か高く、大体7,500 K程度もあり、スペクトル型もF0とポラリスと比較すると高温である。

そして、質量も太陽の10倍ほどもあるために絶対等級もマイナス5.6等とポラリスよりも明るく、これは太陽の15,000倍にも及ぶ。

また、直径も1億キロ近くもあり、表面温度の高さも考慮するとすさまじいほどの規模であることを想像することは難くない。

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こちらはカノープスを太陽距離から見たものであるがポラリスはギリギリ画像内に収まったもののこちらははみ出るほどであり、更に表面温度も高い。

 

また、さそり座のアンタレスも普通の超巨星であるが質量がカノープスの1.25倍もあり、更に表面温度が極めて低い赤色超巨星の状態であるために直径は10億キロもしのぐほどになっている。

ちなみにアンタレスの可視光は太陽の10,000倍程度とカノープスよりも小さいが表面温度が低く、赤外線寄りとなっているために総合的なエネルギーはカノープスを凌いでいる。

 

ここまで書いても規模は非常に大きいが更に先に進んでいきたいと思う。

 

 

 

4. 高光度超巨星

高光度超巨星は筆者が勝手につけたものであり、公式名ではないがここではこの名称を使っていきたいと思う。

高光度超巨星は普通の超巨星よりも更に明るい恒星であり、スペクトル型では1aと示される。

先ほど書いた普通の超巨星は1bであり、ここでの1とは超巨星を示すものであり、1は「Ⅰ」と表記される。

 そして、これらの恒星は絶対等級もすさまじく、普通の超巨星ではまずありえないマイナス7, 8等級の恒星さえもあり得るのである。

これらの恒星の代表的なものとして挙げられるのはオリオン座のリゲルや白鳥座のデネブであり、可視光の絶対等級だけでもマイナス7等ほどもある。

また、これらの恒星はある程度高温の時期には特有の変光型を示し、この変光型はデネブを代表して白鳥座α型と呼ばれており、リゲルやデネブ以外にも, アルニラム(オリオン座ε), アルドラ(おおいぬ座η)など他の高光度超巨星にも見られるものである。

当然これほど光度が大きな恒星は主系列星時代もすさまじい恒星であり、恒星界で最も表面温度の高いO型のものであり、その表面温度は30,000 Kをも驚愕していた。

 

高光度超巨星の代表例は先ほども挙げたリゲルとデネブであるがここでは表面温度が低いデネブについて書いて行きたいと思う。

デネブはご存知の通り、夏の大三角形の1つの恒星ではあるが低質量星のアルタイルやベガとは比較にならないほど遠く、太陽系からは1,411光年も離れおり、最も遠い1等星である。

そして、絶対等級はマイナス6.95等と太陽の51,500倍もあり、更に表面温度もスペクトル型A2より9,000 Kほどとカノープスよりもさらに高温である。

勿論直径も非常に巨大であり、太陽の114倍(=1.587億キロ)もあり、この大きさは地球と太陽間の距離をも凌ぐこととなる。

更に質量も太陽の19倍とカノープスの倍近くもある。

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このように太陽-地球間の距離から見ても非常に巨大なものとなっており、画面内に収めることさえもできなくなっている。

 

また、下には太陽, ポラリス, カノープス, デネブの比較図を載せておく。

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左の小さい点は太陽で左からポラリス, カノープス, デネブとなっているが直径はもちろんのこと表面温度も右に行けば行くほど高くなっているので表面温度が全てポラリス並みになった時はカノープスやデネブは更に膨張しているであろう。

 

ちなみに独自ドメインの「rigelultragiant」の「ultragiant」とはこの高光度超巨星を勝手に英訳しているだけのものである。

(超巨星は「supergiant」と呼ばれており、これだとポラリスもデネブも同じになるので差別化したい。けれども「hyper」は既に後述する内容で使われているために似たような意味である「ultra」を用いて1a型の超巨星のことを筆者は「ultra + giant」と呼んでいる。言うまでも無く、リゲルはこの「ultragiant」に分類されているためにこのドメイン名となった)

 

 

 

5. 極超巨星

最後に極超巨星について書いて行きたいと思う。

極超巨星は英名だと「hypergiant」と呼ばれ、一見すると先ほど紹介した高光度超巨星のように思えるが実際には異なる。

極超巨星は高光度超巨星が高齢化した恒星であり、高光度超巨星が質量の大部分を損失した痕跡のある恒星のことである。

これらの恒星のスペクトル型は非常に細かいものとなっており、更に元の恒星が恒星であるため非常に強大な絶対等級を示しており、中にはマイナス9等をも驚愕するものも存在する。

また、表面温度が極端に高く、質量も太陽の30倍以上のものは特有の変光型が観測され、これらの恒星は高光度青色変光星(LBV)と呼ばれており、絶対等級がマイナス10等を驚愕するものも珍しくはない(LBV自体はとてつもなく珍しいが)。

そして、表面温度がそれほど高くないものは黄色極超巨星と呼ばれており、こちらの絶対等級はLBVほどはすさまじくないがマイナス7~9.5等ほどはある。

 

LBVの例としては1840年ぐらいに絶対等級にしてマイナス12.6等(=太陽の800万倍)を観測したイータカリーナ(りゅうこつ座η星)や銀河の中心に近いピストルスター, 大マゼラン星雲にある最輝時にマイナス10等を超えるかじき座S星などが挙げられる。

これらの恒星は変光星の名が入っているように光度を爆発によってしばしば変えるために相当不安定な恒星となっており、近い将来極超新星爆発を起こしてブラックホールになる様な恒星ばかりである。

 

また、黄色極超巨星の例としては南半球で肉眼観測することのできるりゅうこつ座V382星(3.93等)や周極星であるカシオペア座ρ星(4.51等)が代表的なものであり、絶対等級はそれぞれマイナス7.49等, マイナス8.25等ほどと非常に大きいものではあるがLBVと比較するとかなり小さいほうではある。

 

 

 

6. 太く、そして短く

超巨星のエネルギー量は太陽と比較しても桁違いであり、一見すると一生の間に太陽の何万倍ものエネルギーを放っているように見えるが実際に一生のうちに放っているエネルギー量は質量に比例したほどのエネルギーしか放っていない。

つまり、北極星は太陽の6倍、カノープスは10倍、そしてデネブは生涯に太陽の19倍程度しか放っていないことになるがこれは恒星の単位時間内に放たれるエネルギー量と比べるとありえないぐらい少ない。

では、何故このようになるのだろうか?

 

その理由は放てる期間が短い、つまり寿命が短いからであり、太陽の一生は120億年であるが北極星は7,000万年、カノープスは2,600万年、そしてデネブに至っては1,000万年程度と太陽と比較しても非常に短い。

超巨星内では異常な速度で核融合反応が行われるために莫大な質量を有していても消費速度が凄まじく、結果として寿命は異常に短くなる。

それでもその短期間中に太陽が120億年かけて放つエネルギーの十数倍ものエネルギーを放てることを考えるとすさまじいものである。

逆に質量の小さい恒星はエネルギーを雀の涙ほどしか放たないために寿命は非常に長くなり、中には兆年単位のものさえも存在する。

 

 

 

以上、長くなりましたが超巨星の話でした。