DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

原子番号83番ビスマス 安定同位体が存在しない金属

今回はビスマスについて書いて行きたいと思う。

ビスマスは原子番号83番の元素であり、実は安定同位体が存在しない元素(テクネチウム, プロメチウムを除く)の中では最も原子番号が小さいもので全ての原子が放射性同位体であります。

 

1. ビスマスとは

ビスマス(Bismuth)とは原子番号83番の元素であり、日本語名では蒼鉛と言う名で訳される。

そして、ビスマスの日本語名には「鉛」と言う文字が含まれているが実を言うと鉛の原子番号は82番であり、ビスマスとは隣り合っています。

ビスマス以外にも「鉛」と言う文字を含む元素は存在しており、その元素とは亜鉛で亜鉛の原子番号は30番であるかつ第4周期12族の元素であるがその一方で鉛は第6周期14族であるため、そこまで類似性がある元素とは言えない。

このことより亜鉛よりかはビスマスのほうが鉛に近い元素と言える。

 

それはさて置き、ビスマスの単体は鉛と言う名称に反して若干赤みがかかった銀白色の金属であり、名前とは矛盾しているように思える。

では、何故ビスマスは蒼鉛と言う矛盾した名称が使われたかと言うと実はここで言う蒼とは一般的に考えられている青色のことではなく、くすんで生気の無い灰色のことであると考えられており、宇田川榕菴「舎密開宗」(1837-1847)の文の中にその由来が書かれています1)。

このように昔の人の表現は現在とは大きく異なり、例えば熱いものは火と考えたり(火山)、銀色の物体を銀と考えたり(水銀)するために生じたものであると考えられる。

 

また、ビスマスは本来ならば若干赤みを帯びた金属であるが人工的に結晶を作った場合は酸化膜を帯びるようになるため、虹色の結晶になります。

この結晶は非常に外見が良いため、観賞用に市販されており、流通しています。

しかし、ビスマスは全てが放射性元素なので危険ではないかと考えられると思われがちだが実は放射線を浴びる心配はなく、危険性もあるわけではない。

ではなぜ、そうなるかと言うと...

 

 

 

2. 放射性と鉛との対比

先ほどはビスマスは放射性元素であるために安定同位体は無く、そして同時に「蒼鉛」と言う名称まであり、更には市販されているとも書いたがこれだけ見ると相当矛盾があるようにも見える。

何故なら放射性元素は放射線を放出し、別の原子に変換されるからその元素自体が維持されないために埋蔵量が必然的に小さくなるはずである。

そして同時に有害な放射線が放出され、α線はヘリウム原子核であるため原子番号が2下がり、そしてβ線は中性子が陽子と電子に分裂した際に発生する電子であるため原子番号が1増える。

つまり、ビスマスがα線を放出したら原子番号が2小さいタリウム(81)になり、そしてβ線を放出したら原子番号が1大きいポロニウム(84)になるはずである。

γ崩壊の場合だとガンマ線であるために原子番号は変化しないがα線, β線と同様にエネルギーの大きいガンマ線を放出するために安全性には問題がある。

けれどもビスマスにはそのような危険性は無く、安全な放射性元素のようにも見えるが実はこれにはとある理由があるためである。

 

2.1 魔法数

ここでいきなり関係が無い話に入ったと思うが実はこの魔法数と言われる言葉には重要な意味がある、

魔法数とは原子核が特に安定となる陽子と中性子の個数のことであり、数字で言うと2, 8, 20, 28, 50, 82, 126の7個の数字が当てはまる。

そして、この数値である元素はヘリウム, 酸素, カルシウム, ニッケル, 錫, そして鉛である。

例えばヘリウム4は陽子数, 中性子数共に2であり、両者ともに魔法数であるために安定しており、また酸素16も両者が共に8であるため安定している。

けれども魔法数に陽子数, 中性子数共に当てはまっているからと言って全てが安定かと言うとそうではなく、中性子, または陽子の数が極端に偏っていると不安定な放射性元素となる。

例えばヘリウム10は陽子数が2, 中性子数が8であり、両者とも魔法数であるが安定なヘリウム4と比較すると中性子数が非常に多いためこの原子は寿命が極めて短い放射性元素となっている。

また、ニッケルや錫は魔法数に中性子数が当てはまっている原子が安定である同位体(ニッケルの場合だと中性子数30)とは若干ずれているためにこの法則には当てはまっていない2)。

あくまでこれは目安であり、全てが当てはまるわけではないため注意しなければならない。

 

2.2 鉛208

鉛は安定同位体が存在する元素の中では最も原子番号が大きい元素であり、当然ではあるが原子核の質量も非常に大きい。

鉛には質量数が206, 207, 208の計4つの安定同位体が存在しており、どの安定同位体も比較的多く存在しているが質量数が208の鉛208が他のものと比較して倍ぐらいの割合で存在する。

では、何故この鉛208が多く存在するかと言うと先ほど書いた魔法数と大きな関係であり、鉛自体が陽子数82で魔法数に当てはまっているが実は鉛208の中性子数は126とこれも魔法数であるために鉛208の存在比は大きいとされている。

そして、鉛208こそが安定同位体が存在する原子の中で最も質量数が大きく、209以上の質量数のものは全て放射能を持っている。

 

2.3 ビスマス209

ここまで鉛208について書いたが今度はビスマスに話を移していきたいと思う。

ビスマスの原子番号は83番であり、原子番号が素数であるためにとても安定そうには見えない。

そして、ビスマスには先ほども書いたように安定同位体は存在しないが地球上に存在するビスマスは全て質量数が209であるビスマス209であると言っても過言ではない。

しかし、ビスマス209は安定同位体ではなく、α崩壊を起こす放射性同位体であり、α崩壊後にはタリウム205へと変貌する。

このように書くとビスマス209が流通していることでα線まみれになると考えられるが実際にはそうではなく、その理由はビスマス209の半減期は異常なほど長いからである。

ビスマス209の半減期は1,900京年であり、これはビスマス209の半数がタリウム205に変換されるまでに1,900京年かかるということを意味している。

ここで、宇宙年齢(137億年)を基準に考えたいと思う。

宇宙年齢はビスマス209の半減期の7.21×10^-10倍であるため宇宙年齢を経た後のビスマス209の崩壊割合はわずか2.023×10^-19にしかすぎない。

つまり、1 mol(分子数が6.02×10^23個)のビスマス209は宇宙年齢を経たとしてもたがたが12万個強程度しか崩壊していないこととなる。

更にこれは宇宙年齢を考慮した計算であるため寿命を基準に考えると1つさえも崩壊するほうが稀である(むしろ無いに等しい)。

つまり、ビスマス209は実質安定同位体として見なすことができ、放射性元素ではあるものの放射線は出さないという見方もできる。

実際に安定同位体と放射性同位体には実質的な違いは無いとも考えられ、安定な酸素16も宇宙の年齢の数兆倍の更に数兆倍の更に数兆倍...かけると崩壊する可能性も考えられる(陽子に寿命がある場合はほぼ陽子の寿命による崩壊が先に来ると思うが...)。

 

 

 

以上ビスマスと安定同位体についてでした。

 

参照文献

1) 蒼鉛いろ - Doubletのちょっとピンボケ

    URL : http://d.hatena.ne.jp/doublet/20100308/p1

2) 魔法数 - Wikipedia

    URL : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E6%B3%95%E6%95%B0

 

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