太陽と一番近い恒星系はケンタウルス座α星であり、この星は太陽の1.5倍の明るさを持つ恒星と太陽の半分の明るさの恒星の連星系となっております。
この恒星は地球との距離が4.37光年と非常に近いため、恒星系の合計光度が太陽の2倍程度であっても非常に明るく見えます。
しかし、赤緯が低すぎるので日本から観測することは不可能であります。
けれども太陽に似ている星はこの星以外にも当然ではあるが存在し...
1. カシオペア座
カシオペア座はケンタウルス座とは逆に北天に見える星座であり、実を言えばケンタウルス座とは真逆の方向に位置しております。
そして、カシオペア座と言えば5つ星が作るW型の形で有名であり、北極星を見つけるための星座としても有名です。
カシオペア座のWを形成する5つの恒星はα星からε星であり、固有名はα星から
α : Schedar
β : Caph
γ : Tsih
δ : Ruchbah
ε : Segin
と言います。
これらの恒星は2等星から3等星であり、2等星はα, β, γの3つであり、3等星はδ, εの2つであるが実際はε星のみがかなり暗く、他の星の明るさは大体似ております。
ちなみにここまではα星からε星までの5星を書きましたが実は3等星がもう一つあり、その星こそが今回話すη星であります。
2. カシオペア座η
カシオペア座η星はカシオペア座の中では6番目に明るく、地球から見ると3.45等星として観測することが出来ます。
カシオペア座のW型で右からβ, α, γ, δ, ε星であり、η星はα星とγ星の間に位置しています。
ちなみに、固有名はアキルド(Achird)と言い、意味は不明ですがおそらく「手」のような意味ではないかと考えられます。
そして、この星はある2つの点で注目すべき星であり、その点とは
- 主星が太陽に似ている
- 連星系である
であります。
太陽に似ているのにもかかわらず、地球から見た明るさがそこそこなのは太陽との距離が非常に近く、その距離はわずか19.42光年とアルタイルよりは遠いがベガよりも近く、カシオペア座の中では最も近い恒星であります。
この星は先ほども書いたように太陽にそっくりな恒星と太陽よりもかなり暗い恒星の2つによる連星であり、太陽にそこそこ似ているケンタウルス座α星とは伴星の点で異なると言えます。
では、この恒星のステータスについて簡単に書いていきたいと思います。
カシオペア座η星Aは太陽よりも若干明るく、太陽の絶対等級は4.83等に対して4.59等であります。
そして、この明るさはケンタウルス座α星Aよりも暗く、より太陽に似ているとも言えます。
また、伴星の絶対等級は8.34等とケンタウルス座α星Bよりもかなり暗く、こちらは地球からの明るさは7.21等しか無く、単独では肉眼で観測することは不可能です。
カシオペア座η星A。太陽にかなり似ており、20光年以内の恒星の中では太陽に一番似ているといっても過言ではない。
カシオペア座η星Bとは平均90天文単位も離れているためB星は満月よりも若干明るい程度にしか見えない。
カシオペア座η星B。ケンタウルス座α星Bと比較してもかなり暗く、質量も太陽の0.6倍程度とケンタウルス座α星Bの3分の2程度しかない。
直径もかなり小さく、100万キロよりも小さい。そして、表面温度もかなり低くオレンジ色に見える。
それでも全恒星の中では上位20%ほどに入るぐらい明るい恒星である。
このようにカシオペア座η星はケンタウルス座α星と類似点がかなり多く、
- 連星である
- 太陽に似ている
などの共通点があるが異なる所も多く、
- カシオペア座η星は北半球の星だがケンタウルス座α星は南半球の星である
- 伴星の大きさ
であり、ケンタウルス座α星は日本からだと全く見れないがカシオペア座η星は年がら年中日本から観測することが出来ます。
また、カシオペア座η星はカシオペア座と言う目立つ星座にある上に位置的にもかなり見つけやすい位置にあるため観測することはかなり容易であります。
このことよりカシオペア座η星は北半球ではケンタウルス座α星以上に注目的な恒星であり、太陽に似ている以外にも連星としての価値もかなりあります。
肉眼では観測できない伴星も天体望遠鏡を用いれば観測することも容易であり、観測した時は黄色の恒星(太陽そっくり)と橙色の伴星が並んで見え、連星としても見ごたえのある恒星です。