DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

絶対等級の距離が32.6光年の訳 理由は1パーセクだと近すぎるから

今回は絶対等級について書いていきたいと思います。

恒星は地球から見ると太陽よりも圧倒的に暗く見えますがその理由は太陽以外の恒星が光年単位で離れているからであり、実際の明るさは太陽よりも明るい恒星が多いです。

そして、本当の明るさを示すために使われているのが絶対等級であります。

 

1. 絶対等級と距離

絶対等級とは恒星を約32.6光年先に置いたと仮定した時の等級であります。

つまり、この条件だと星の本当の明るさを知ることが出来るがここで何故32.6光年と言う微妙な距離を用いるのでしょうか?

その理由は恒星までの距離は年周視差を用いて測られるからであり、年周視差を用いた距離で考えることが天文学の基本となっているからです。

※年周視差については下記の記事を参照にしてくださいwww.rigelultragiant.com

 

そして、年周視差1秒の距離のことを1パーセクと呼び、年周視差が小さくなるほど距離は伸びます。

ちなみに1パーセクは

149,600,000 (km) ÷ tan(1/3600)° = 3.0857215 × 10^13 (km)

となり、この距離を光年で表すとおよそ3.2616光年となります。 

 

このことより1パーセクはおよそ3.26光年となるわけであり、光年をも超える相当な距離になりますが実はこの距離でも近すぎて基準には使えません。

何故なら太陽系に一番近い恒星でも4.24光年(Proxima Centauri, Alpha Centauri C)離れている、つまりどの恒星も1パーセクよりも離れているため、基準値(3.26光年)に置くと近づきすぎて必要以上に明るい数値になるからです。

そこで天文学者は1パーセクの10倍の距離である10パーセク(32.616光年)を基準の距離にすることを考えました。

このようにすれば恒星が過剰に近づくことも無く、ある程度適度な明るさとなると考えたからです。

まあ、夜空に見える恒星の大半は32.6光年以上離れていますが...

 

けれども32.6光年よりも近い恒星は明るい星の中にもあり、1.5等星以上の星の中には

リギルケンタウルス、シリウス、プロキオン、アルタイル、ベガ、フォーマルハウトの

6星があり、全一等星の内の7分の2も占めています。

ちなみに二等星(1.5~2.5等級)の中には10パーセク以内に存在する星は1つも無く、一番近い星のデネボラ(2.14等)でも36光年離れています。

 

 

 

2. 絶対等級の求め方と恒星の絶対等級

ここまでは絶対等級の基準値の説明でしたが今度は絶対等級の求め方について書いていきたいと思います。

恒星の明るさは5等級変わると100倍変わる、つまり1等星は6等星の100倍も明るいこととなります。

そして、夜空に輝く星はもちろん32.6光年先にあるものはほとんどなく、

肉眼で観測できる星の距離は4.37光年から12,700光年と非常に幅が広いです。

 

そして、様々な距離にある恒星を32.6光年先に持ってくることは当然不可能であり、あくまで32.6光年先に持ってきたと仮定することしかできません。

そこで恒星の距離と地球からの明るさから絶対等級を求めることになりますがこの計算式について書いていきたいと思います。

その計算式とは

(恒星の地球から見た明るさ) - 5×log(恒星までの距離/10)

で求めることができ、ここでの距離はパーセクであります。

 

また、光年を用いたいときは

(恒星の地球から見た明るさ)

- 5×log(恒星までの距離/32.616)

となり、赤字の単位を光年にすればよいだけです。

 

勿論この計算式は太陽や地球から肉眼で見えない恒星にも適用でき、恒星の絶対等級は可視光で17等~マイナス10等にまで収まります。

 

ここで例を挙げたいと思います。

まず太陽の絶対等級は視等級マイナス26.74、距離は光年にすると0.00001581光年であるため、

-26.74-5×log(0.00001581/32.616)≒4.83

となり、32.6光年も離すと肉眼では見えることは見えるものの視力が非常に良いかつ光が無い夜ではないと見ることは不可能なほどの明るさにまで下がります。

 

そして、シリウスの場合はマイナス1.47等、8.6光年なので絶対等級は

-1.47-5×log(8.6/32.616)≒1.42

となり、こちらはギリギリ1等星で観測することが可能です。

 

更に強大な絶対等級を持つことで有名なリゲルは0.13等、863光年より

0.13-5×log(863/32.616)≒-6.98

となり、地球から見える金星の明るさを軽く超え、シリウス(勿論地球からの)の100倍以上の明るさで観測することが出来ます。

 

勿論本物の恒星はこの距離にあるわけではなく、あくまで机上の空論となるわけですが...

 

 

 

3. 10パーセク以外に置きたい場合は

ここからは余談になりますが恒星を10パーセク以外に置いた場合の明るさを求めたい場合の計算式について書いていきたいと思います。

その方法は簡単であり、10パーセク(32.616光年)の所を求めたい距離に置き換えればよいだけです。

つまり

(恒星の地球から見た明るさ)

- 5×log(恒星までの距離/求めたい距離)

を計算すればよく、

例えばリゲルをシリウスの位置に持ってきたときの明るさを求めたい場合は

リゲルの視等級-5×log(リゲルの距離/シリウスの距離)を計算すればよく、答えは

0.13-5×log(863.8.6)≒-9.88

となり、この明るさは金星の最高光度の100倍以上もあります。

逆にシリウスをリゲルの位置に置いたら肉眼で観測することが出来なくなりますが...

 

 

このように恒星の距離さえ知っておけば他の恒星の位置に置いたときの明るさを知ることができ、天文学への関心も上がると思います。