DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

焼け石に水とは本当のことなのか 実際に計算してみると...

 今回は焼け石に水と言うことわざが本当のことであるかについて書いて行きたいと思う。

目次

1. 比熱と蒸発熱

 水は常温常圧下の液体の中では最も比熱が高く、その比熱は4.184 J/(g ℃)である。比熱とは「1gの物体の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー」のことである。つまり、水1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギーは4.184 Jであり、4.184 Jのエネルギーを水1gに加えると温度が1℃上昇する。反対に4.184 Jのエネルギーを水1gから取り除くと温度は1℃低下する。

 また、温度の違う2つの物体を接触させると温度が高い物体から温度の低い物体へ熱が移動し、最終的には温度が等しくなる。そして、水の温度が100℃に達すると温度を上げるのに使われていたエネルギーが水を水蒸気にするのに使われ、全ての水が水蒸気になるまで温度は100℃で一定となり、水が全て水蒸気になると水蒸気の温度が上がるようになる。

 つまり、この世の中には圧力を強くするなどの操作をしない限り100℃以上の水は存在しないこととなる。

 そして、これらのことをまとめると水を蒸発させるのに必要な操作は水の温度を100℃まで上昇させる→水を水蒸気にするの二段階であり、この操作を終えると水が全て水蒸気になる、要するに液体の水が無くなるようになる。

 ちなみに100℃の水1gを水蒸気に変えるのに必要なエネルギー、即ち蒸発熱は常圧下では2.257 kJ/gであり、比熱と比較すると極めて大きな値となる。つまり、1gの水を蒸発させるのに必要なエネルギーは水の温度とT℃とおくと(100-T) × 4.184 + 2,257 =2675.4 - 4.184T (J)

となる。

 そして、今度は石について検討していきたいと思う。今回使う石は花崗岩であり、花崗岩の比熱は0.840 J/(g ℃)であるので今後はこの値を用いていきたいと思う。

 花崗岩の融点は1250℃程であるが、実際に焼け石と言ってもそこまで温度が高いわけではないので物質が赤熱し始める程度の温度である1,000 ℃と仮定する。

 ここまで条件をそろえたので実際に検証していきたいと思う。

2. 検証すると

 ここまで様々な条件を書きましたがまだ足りないパラメーターが存在し、以下のパラメーターが不足している。

  • 水の質量
  • 水の温度
  • 花崗岩の質量

 ここで水の温度を飲料水の最適温度である10℃、花崗岩の体積を1,000㎤と置く。そして、花崗岩の密度は2.75g/㎤であるので,この花崗岩の質量は2.75kgとなり、花崗岩の最終温度は水の最高温度である100℃と設定する。

 ここまで条件がそろったので早速検証していきたいと思う。

 初めに10 ℃の水1gが100℃の水蒸気になるのに必要なエネルギーを求めていきたいと思う。T ℃の水1gを100℃の水蒸気1gにするのにかかるエネルギーは2675.4 - 4.184T (J)であるのでTに10を代入すると2633.56 Jとなり、このエネルギーこそが水1gを水蒸気に変えるのに必要なエネルギーとなる。

 このエネルギーは当然花崗岩からもらい、花崗岩のほうは逆にこのエネルギー分だけ下がる、つまり温度も下がるようになる。

 そして、1,000℃の花崗岩2.75kgを100℃にまで下げるのには2750 g × (1,000-100) ℃ × 0.840 J/(g ℃) = 2,217600 J = 2.079 MJもエネルギーを下げる必要があり、このエネルギー量を2633.56 Jで割った時、必要な水の量が割り出される。

 その答えは2.079 ×10^6 / 2633.56 ≒ 789.4 gとなり、1リットルのペットボトル1杯分にも満たない水で花崗岩の温度を100 ℃にまで下げることが可能となる。

3. パラメーターを変えると

3.1 水の温度を高くすると

 ここまでの話を見ると結構大きい石を100℃に冷やすのにかかるのに必要な水の量はあまり多くないがパラメーターを変えるとどうなるかについて書いていきたいと思う。

 今回の検証では水の温度を10℃と置いたがこれが100℃の時はどうなるのだろうか?

 10℃の時は1g当たり2633.56 Jで100℃の水蒸気になったが100℃の時は気化熱のみ、つまり2257 Jで100℃の水蒸気となる。

 もし、この温度で焼け石の温度を100℃にするならば921.1gの水で足り、この量は10℃の時と比較しても1.17倍程度にしかすぎない。この理由は気化熱の大きさが非常に大きく、水の比熱の大きさの約540倍にも及び、水を0℃から100℃に上げるのに必要なエネルギーの5.4倍ものエネルギーを有するからである。

3.2 花崗岩が重くなると

 先ほどは花崗岩の質量を2.75kgと置いたがこの質量を2倍の5.50kgにしたいと思う。

 この時の水の温度を10℃とおくと、必要な水の量は下げるのに必要なエネルギーは5500 g × (1,000-100) ℃ × 0.840 J/(g ℃) = 4158000 J = 4.158 MJであるため、必要な水の量は4158000 ÷ 2633.56 = 1578.85 gとなり、単純に2倍になるだけである。

3.3 温度が下がると

 今度は温度を下げてみたいと思う。花崗岩の質量を2.75kg、水の温度を10℃と置き、花崗岩の温度を800℃とおくと花崗岩の温度を下げるのに必要なエネルギーは2750 g × (800-100) ℃ × 0.840 J/(g ℃) = 1.617 MJ1617000 ÷ 2633.56 =614.00 gとそこまで減らないものの温度が下がれば下がるほど必要な水の量は減り、実はこの状況でも直線状に必要な水量は減少、つまり質量と同じようになる。

4 結論

 以上のことより、水の温度が上がってもそこまで影響は出ないものの温度が高くなると直線状に必要な水の量は増え、更に質量が2倍になると必要な水の量も2倍になるが

温度が高くなると石が溶岩になり、もはや焼け石にならないので重要なパラメーターは

岩石の量であることが分かる。

 ちなみに10℃の水789.4gで2.75kgの花崗岩1,000℃を100℃にまで低下させることが出来るため、焼け石に水と言うことわざは間違っているとも言える。

 何故ならあくまで「焼けであり、「焼け岩」ではないためそこまで石の量も必要ではないからである。

 しかし、ことわざの意味には少量の水と言う言葉があり、この量がどれほどであるかによっては正しいと考えられる可能性もあることとなる。

 

 一応火事の対処法に関する記事ですwww.rigelultragiant.com