DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

遠くにある星の距離の測り方 その方法はいったいどうなのか?

今回は遠くにある恒星までの距離の測り方とその方法について書いていきたいと思います。

地球から見える星までの距離は極めて遠く、一番近い恒星でも4.37光年(太陽と6.5等以下の恒星は除く)も離れており、この距離に信憑性があるかが疑われます。

実際に4.37光年と言うと41兆3150億9416万キロメートルに相当し、普通に考えてこの距離を測ることは不可能のように見えます。

しかし、ある方法を用いれば3,000光年ほどの距離にある恒星までは測ることができるのです。

 

 

 

1. 恒星の距離は角度によって測られている

実は恒星までの距離は角度を用いて測られているのですが何故角度を用いれば距離が測れるのでしょうか?

その理由は三角関数と地球と太陽との距離が大きく関係しており、初めに三角関数を用いた測り方について書いていきたいと思います。

 

三角関数はご存知の通り、sin, cos, tan を用いた関数であり、高さを求めるときなどに用いられることもあります。

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このようにある地点から300m離れているかつその地点との角度が30度である建物があるとします。

そして、この建物の高さを求めるときに三角関数を用い、三角関数より

建物との距離×tan(建物との角度)が高さとなります。

よって、この建物高さは173.2mと求めることができるのです。

 

このように書くと確かに建物との距離は求めることができますがこの方法では他の恒星との距離を求めることが出来そうにはとても見えません。

 

しかし、この方法は2つのパラメーターが分かれば他の値も求めることが出来ます。

そのパラメーターとは

  • 対象との角度
  • ある一辺の長さ

であり、実は恒星を求める際に必要なパラメーターは満たしています。

では、対象との角度とは何なのでしょうか?

それは年周視差と呼ばれるものであり、視差とはある観測地点が異なる2店から見た物体の見える位置の違いであり、右目で見た時と左目で見た時では見える位置が異なるように見える状態のことも視差と言います。

そして、年周視差とは地球が太陽の周りを自転しており、半年後には逆側に地球が行き、その時に生じる視差のことです。

このように書くと非常に分かりずらいので図を用いて説明します。

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このように地球軌道と天体までの角度さえわかってしまえば三角関数で求めることが出来、ここでいう年周視差とは地球-天体間の距離と太陽-天体間の距離が作る角度のことであり、正確には太陽-天体間の距離が求まります。

しかし、天体-太陽間の距離は地球-太陽間の距離と比較しても比べ物にならないほど遠いため、その角度も極端に小さくなります。

その大きさは1度の60分の1の更に60分の1度(1秒)よりも小さく、衛星を用いて正確に測定しなければならないほどです。

その一方でこれだけ遠いと恒星は動いていないと見なせるため、恒星の動きを考えなくてもよいのですが...(惑星は目に見える範囲で動く)

 

ちなみに1秒に相当する距離のことをパーセクと言い、その距離は

149,600,000 (km) ÷ tan (1/3600°) = 3.08×10^14 (km) ≒ 3.26 (光年)

となっております。

 

無論、遠い天体になればなるほど年周視差は小さくなっていき、どの恒星も1パーセクよりも遠いため、年周視差も1秒よりも小さいです。

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ちなみに太陽に一番近い恒星であるα Cenの年周視差は0.743秒であり、距離は41.3兆キロ、シリウスの年周視差は0.37921秒で距離は81.4兆キロと求めることができます。

そして、この年周視差はヒッパルコス衛星と言う衛星によって正確に求められており、1,000 パーセク(3,260光年)ほどまで求めることが出来ます。

 

 

 

2. それ以上遠くなると

ここまで恒星までの距離の求め方について書きましたが当然恒星の中にも1,000パーセクよりも遠くにある恒星も存在しており、そのような恒星は年周視差によって求めることは不可能となります。

例を挙げるとするとしし座ρ(5,433光年)、とも座l(5,525光年)、りゅうこつ座V382(6,269光年)、りゅうこつ座P(8,000光年)などがあります。

これらの星の距離は誤差が非常に大きく、この距離も本当に正しいかどうか分かりません。

ただ言えることは1,000パーセクよりも遠いということだけですが...

 

これぐらい遠くの星となると恒星のスペクトル型から求めるしか方法はなく、恒星のスペクトルは恒星の状態によって大きく異なります。

先ほどの恒星のスペクトルはしし座ρ(B1 1a)、とも座l(A2 1a)、

りゅうこつ座V382(G4 1a0)、りゅうこつ座P (A6 1a)とどの恒星も

非常に明るい超巨星(1a)か1aが老化した極超巨星(1a0)を示しているため非常に明るいことは容易に想像できます。

そして、この距離が正しいとするとこれらの恒星の絶対等級はいずれもマイナス7等級を超えているのです。

 

しかし、この方法はあくまで推測でしかないため、誤差はかなり大きいと思われます。

 

 

地球から見て非常に遠い恒星も角度と太陽との距離を使って求めており、

その考え方も三角関数を用いているため、意外なところで数学が生かされているとも言えます。