東京都の標高は海抜0mに近く、かなり標高の低い首都であるがこれは関東平野が非常に平坦でアクセスも良いからだと考えられます。
しかし、世の中にはとんでもなく標高の高い首都も存在しており、最高点では富士山頂の標高すら驚愕している国もあります。
そして、今回は標高の高い首都とその問題点について書いていきたいと思います。
1. 世界一標高の高い首都
世界で一番標高の高い首都はどこに位置しているのでしょうか?
正解は南米に位置しており、ボリビアの首都のラパスが世界一標高の高い首都であります。
ここでラパスのことを書く前にボリビアについて書いていきたいと思います。
ボリビアは南米大陸のほぼ中央に位置しており、面積はおよそ110万㎢(27位)ほどであり日本のほぼ3倍の面積を誇りますが人口は日本と比較してもかなり少なくおよそ1,080万人(82位)と東京都よりも少なく日本の10分の1ほどの人口しかいません。
つまり、人口密度は相当低く、10人/㎢よりも小さいですがその理由は自然が多くて居住地が少ないからです。
そして、ボリビアは周りを陸に囲まれた内陸県であり、海は存在しないがティティカカ湖と言う湖がペルーとの国境付近に存在しており、大きさは琵琶湖の12倍程度とかなり大きな湖であります。
また、この湖の特徴は何といっても標高の高さであり、湖面の標高は富士山の標高をも凌ぐ3,800mほどであり、湖底の深さも湖面から280mと比較的深いですがそれでも長野県のどの位置よりも高い標高であります。
このようにボリビアは標高が高い地域が多いですがその理由はアンデス山脈がボリビアに位置しており、そこにボリビアが位置しているからです。
ちなみに標高が高い地域は西側であり、東側は標高が低めであるので西と東では大きく気候が異なります。
ここまではボリビアの標高について書きましたがラパスと言う首都はどのようになっているのでしょうか。
実はラパスの市街地の標高は3,600mと富士山頂よりかは低いですがティティカカ湖と同様に長野県のどの位置での標高を上回っております。
そして、ラパスの地形はすり鉢状になっており、市街地はその一番低い位置にあるので市街地から離れると標高が上がっていき、最高地点ともなると標高4,000mを軽々と上回っております。
ちなみにラパスの面積と人口は千葉市に似ており、千葉市よりも若干小さいほどであります。
次にラパスの地理的なことについて書いていきたいと思います。
2. ラパスの気候
上では書きませんでしたがラパスの緯度は南緯16.5度ほどであり、緯度的に見ると日本最南端である沖ノ鳥島の緯度よりも小さい所に位置しております(沖ノ鳥島は北緯、ラパスは南緯だが気温は太陽の角度によって異なるので大体は緯度に比例する)。
当然これほど緯度が低いと気温も高くなり、年がら年中暖かいのですがあくまでそれは周りを海に囲まれているかつ標高が低い場合に限ります。
だが、ラパスの標高は富士山頂級であるので当然ではあるがこの条件には当てはまらず、地上よりもずっと低い気温となります。
気温は標高が100m高くなるたびに0.6℃ずつ下がっていくので単純計算では標高が最も低いラパス市街地でも標高0mの所と比較して21.6℃も下がる計算になります。
つまり、地上の温度が30℃だとしてもラパスの温度は8.4℃にしかすぎず、低緯度にもかかわらずかなり寒くなります。
では、どれほどの温度になるかと言うと...
このようになっており、最低気温も最高気温も月によってあまり変わらず季節が無いようにみえます。
その理由はラパスの緯度が熱帯地方と同じ所に位置しており、年がら年中太陽が高角に位置しているために太陽が常に強烈に当たっているからです。
そのため気温差が小さいですがラパスは先ほども書いたように非常に高緯度に位置しているので熱帯の温度から標高の高さの分だけ気温が引かれるために平均気温は低くなっているのです。
ちなみに東京の気温よりも低く、1,2月だけ東京のほうが気温が低くなるほどです。
つまり、ラパスの気温はその緯度の低さより熱帯地方と似たような傾向があるが標高が極めて高いために気温が大きく引き下げられ、結果として年がら年中寒い気候となっています。
このような特殊な気候のことを高山気候と呼び、標高の高い地域でのみ見られる気候です。
裏を返せば極端に低くなる日が無いので気温に関しては問題はあまり無いと思うが...
本当に問題なのは気温のほうではなく、むしろ空気の薄さであり、ラパスの標高は富士山頂級なので当然空気の濃さも富士山頂レベルとなります。
富士山頂付近では高山病になりやすくなりますがラパスでも同じような現象が起こり、ラパスの空気は地上の3分の2程度となるので常時酸欠状態になりやすくなっております。
登山に慣れているならまだしも登山に慣れていないようならラパスで暮らすことはおろか、立っていることさえも困難になります。
そして、極めつけはラパスの地形にあり、先ほども書いたようにラパスはすり鉢状の地形なので傾斜が激しく上り下りをしなければなりません。
そうなると必要以上に酸素を使う羽目となり、日常生活でも富士山頂付近を歩き回っていることと同等となるためたとえ観光で来たとしても命がけになってしまうのです。
また、余談だがここまで緯度が高いと沸点も下がり、水が100℃以下で沸騰するためその点でも困ることとなり、圧力鍋が必須となります。
今回はラパスについて書きましたがもし、このように標高の高い都市に観光に来るならば登山に慣れていないと苦しくなると思うので行きたい場合は登山を経験しといたほうが良いと思います。