DS930810のブログ

主に科学系の雑学や解説を書いていきますがたまに科学以外の雑学も書いていきたいと思います。

化学反応はなぜ起こる? 実はエネルギーだけではなく...

化学専攻なので今回は化学反応についての記事について書きたいと思います。

化学反応はメタンが燃えたり鉄が錆びたりするように物質が組み変わる反応のことを示します。

そして、この時に熱や光が伴うことがあり、これはエネルギーが外に放出されることによって起こる反応です。

今回は化学反応の起こる理由について書いていきたいと思います。

 

 

1. エネルギーの出入り

化学反応が起こるときはエネルギーが発生することが多く、燃焼時の反応は全てエネルギーが放出されます。

物質はエネルギーを持っており、反応前の物質と反応後の物質では持っているエネルギーの量が異なり、この時の差がエネルギーとして放出されるのです。

エネルギーが高い状態は不安定であり、物質はなるべくエネルギーの低い状態になろうとします。

物を高いところに持っていき、手を離すと下に落ちていくがあれもエネルギーの高い状態から低い状態になろうとする現象であり、高いところから物を落とされると痛いのはエネルギーが伝わるからです。

熱もエネルギーの一種であり、熱が発生するということは発生した分のエネルギーがその物体から解き放たれたということで、その物体が安定したといえるのです。

つまり、化学反応とはエネルギーがより低い状態に移ろうとする反応のことであり、根本的には物が落ちることと同じとも言えるのです。

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これが化学反応の起こる原因の1つであり、物を燃やすと火が出る原因でもあります。

また、化学反応は応用されており、懐炉が暖かくなるのも化学反応によるものであり、空気中の酸素と懐炉の中にある鉄が化学反応をすることで酸化鉄に変化することでエネルギーが熱として放たれ、温かくなります。

つまり懐炉はものが錆びることを利用した道具だと言えます。自転車が錆びてもいいことは無いが...

 

 

 

2. 実は熱以外にも反応の原因があった

先ほどはエネルギーが放たれたら安定化して、反応が進むと書きましたが何も化学反応は発熱反応だけではありません。

アンモニアの合成法の1つとして塩化アンモニウムと水酸化バリウムを反応させることでアンモニアを合成する方法があるがこの時熱を放つのではなくむしろ吸収してしまうのです。

熱を吸収するとエネルギーが上がり、不安定化するので反応なんて一見起こらないように見えます。

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まあ、実際に上図のように熱を吸収して反応は進みますが...

 

確かに反応前の物質のエネルギーよりも反応後の物質のエネルギーのほうが小さいと反応が進みやすくなりますがそれだけではなく、分子の乱雑さも影響します。

上記のアンモニアの生成反応では反応後の物質のほうが反応前の物質に比べて乱雑さが大きく、後に乱雑な物質のほうが反応し易そうに見えます。

まあ、例えるなら片付いた状態のほうが散らかった状態にするよりも難しく、遊んでいると片付いた状態が散らかった状態になっていくので散らかった状態のほうが自然であるとも言えます。

つまり、反応が進むかどうかは熱量の変化と乱雑さに影響され、反応後に熱を放出し、更に乱雑なほうがより反応が進みます。

この乱雑さを表す物理量をエントロピー(Entropy)と呼び、吸熱・発熱挙動に関わる状態量のことをエンタルピー(Enthalpy)と呼びます。

発熱反応の時は反応系のエンタルピーが下がり(熱を外に放出するため)、吸熱反応の時にはエンタルピーは上がります。

ちなみにエントロピーとエンタルピーを合わせた式があり、この式は自由エネルギー(ギブズエネルギーともいう)を表したものであり、自由エネルギーがマイナスになった時に反応が起こります。

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このことより、反応後にエネルギーを放出するかつ分子やイオンが乱雑になるものほど反応が進みやすい反応と言えます。

 

また、温度が低いと起こらない反応も温度を上げると起こるものはエントロピー変化が正のものであり、温度を上げる前は自由エネルギーが正であるが温度を上げることにより、エントロピーの影響が大きくなることで自由エネルギーが負になり、負になった時に初めて反応が起こります。

逆にエントロピー変化が負の反応の時には温度を下げればより反応が起こりやすくなります。

何も加熱をすればよいわけではないのです。

 

要するに反応を決定しているものはエンタルピーとエントロピーの2つであり、どちらかが邪魔をしても、もう片方が打ち勝てば反応は起こるのです。 

 

 

 

3. 反応後の質量変化

化学反応前と後では質量が変化しないと言われていますが実際には微小量変化だけ変化しています。これはエネルギーが放出、吸収されているからです。

エネルギーと質量はアインシュタインの式により結びつけることができ、エネルギーは質量と光速の2乗によって表すことができるのです。

これで炭素の燃焼反応の質量欠損を表すと...

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このようになり、確かに質量は減っているものの全体の50億分の1程度しか減少をしていないので質量は実質同じとして見ることができます。

 

化学反応ではどの反応でもこのように超微小量しか質量は減少しないが核反応ではそうはいかず、化学反応と比較しても桁違いの質量が欠損します。

その分がエネルギーとして放出されるため、核反応のエネルギーは化学反応とは比較にならないほど大きくなります。

実際に水素→ヘリウムの核融合エネルギーは同じ質量での炭素の燃焼反応の800万倍のエネルギーが発生するといわれています。