DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

重力が遠心力に負けるとき 自転が速すぎると起こる慣性力とは

 また、力に関する記事を書きたいと思います。前々回は力の大きさについて、前回は慣性力について書きましたが今回は慣性力と重力の競争について書きたいと思います。

目次

1. 赤道上で感じる重力とは?

 地球は自転をしているので遠心力がかかるということは前回書きましたが今回は万有引力と遠心力によって実際にはどれほどの加速度がかかるかを書いていきたいです。

 力の式はF=maで質量と加速度の積であり、万有引力, 遠心力の力は以下の様に表わされる。

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 そして、万有引力と遠心力は逆向きに働いているので感じる重力と言うのは

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このようになり、重力加速度は万有引力による加速度から遠心力の加速度を引いたものになります。

 そして、赤道付近でも重力に勝るほどの遠心力を生み出すほどの自転速度は無いので遠心力が万有引力に勝ることはありません。

 しかし、自転速度が17倍強になると遠心力が万有引力に勝ってしまうので赤道上の物体は質量に関わらず飛ばされてしまいます。質量に関わらない理由は重力加速度の式にその物質自身の質量が含まれていないからであり、この式に関わってくるパラメーターは天体の半径、天体の質量、天体の自転速度の3つだけです。

 これらの大きさが重力を決めており、赤道上では無くても式を出すことはでき、遠心力の式にcosθ(θは緯度)をかければいいだけです。

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 まあ、当然緯度が高くなればなるほど遠心力は小さくなっていき、極点だとどれほど自転速度が速かろうと遠心力はゼロになります。

 ちなみに遠心力が万有引力に勝る最低速度は√(GM/r)であり、これを超えると外にはじき出されてしまいます。更にこれは赤道での話であり、緯度が付いてくると最低速度は√(GM/rcosθ)となり、より早くないと外にはじき出されなくなります。

 勿論極点だとこの速度が無限大となるので絶対にはじき出されないが...

2. では、地球の場合は?

 万有引力定数は6.67259×10のマイナス11乗あることを式では用います。地球の直径は6,378,137 m、質量は5.972×10の24乗 kgなので先ほどの式に代入すると7.904 km/sとなり、相当な速度で自転しないと外に投げ出されないことが分かります。

 また、緯度が10度だと7.965 km/sと赤道と大差がないが東京の緯度である36度だと8,788 km/sと若干高速ではないとはじき出されないことが分かります。

 ちなみに緯度が60度だと11.178 km/s、80度だと18.968 km/sと緯度が高くなればなるほど影響も大きくなり、より速い速度ではないと投げ出されなくなります。まあ、cosの式を見たら一目瞭然だが...

 そして、実際の地球の自転速度は赤道でも464 m/s程度なので投げ出されることは無いが...

3. 恒星界ではどうなのか?

 やはりここで気になるのは恒星での話であり、まず初めに太陽について書きたいと思います。太陽の直径は1,392,000,000 m、質量は1.989×10の30乗 kgなので赤道で遠心力が万有引力に勝る自転速度は308.777 km/sと地球を圧倒するような大きさになります。

 また、太陽は恒星なので地球のように岩石で構成されていないため、この速度で自転をすると太陽上にある太陽を構成するガスやプラズマが太陽の重力を振り切って外に出てしまうために太陽は崩壊します。まあ、実際の太陽の自転速度は赤道では1.86km/s程度なので余裕で壊れませんが...

 では、シリウスはどうかと言いますとシリウスの直径は太陽の1.68倍、質量は2.02倍なので338.583 km/sとなり、若干ではありますが自転に余裕があります。

 つまり、シリウスは太陽よりも自転に対しては頑丈だと言えます。実際のシリウスの自転はそこまで速くはありませんし(ただし、太陽よりかは圧倒的に速い)。

 では、アルタイルの場合だとどうなるかと言いますと直径は赤道では太陽の2.03倍、質量は1,79倍なので289.950 km/sとなり、実は太陽よりも脆かったりします。しかもアルタイルの自転速度は速く、242 km/sと言う超高速で自転しているために速度が少し増せば限界を超えバラバラになるみたいです。

 まあ、そのような状況は考えられませんが相当な影響は出ており、アルタイルの赤道は相当膨らみ扁平型をしています。物質が遠心力によって飛ばされているからです。

 では次にカノープスで考えていきたいと思います。カノープスの直径は太陽の71.4倍、質量は9.8倍なので自転限界速度は114.396 km/sと比較的遅くなります。

 この理由は、限界速度は直径が大きくなればなるほど小さくなっていき、質量が大きくなるほど大きくなるため、超巨星のような超低密度天体だと自転限界速度も相当小さくなるからです。

 また、カノープス以上の質量を有するリゲルだと160.217 km/sでカノープスよりは頑丈だが直径がより大きく、質量がリゲルほどは重くないアンタレスともなる36.591 km/sと非常に遅くなります。

 逆に中性子星ともなると異常に頑丈になるが...