DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

何故周期表はいびつな形をしているのか? その答えはd軌道にある?

殆どの人は周期表を1度は目にしており、その周期表の形は非常にいびつな形をしております。

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(Wikipediaより参照、2015年12月時点での旧版 Antonio Ciccolella さんによる作品)

 

このように1周期目は水素とヘリウムしかなく、非常に空白が多く、2,3周期目にも空白があります。

けれども4,5周期目はすべて埋まっており、あまりもありませんが6,7周期目にはランタノイドアクチノイドと言う謎の領域があり、外れています。

では、何故このようないびつな形になっているかと言うのを説明していきたいと思います。

 

 

1. 原子軌道と周期とは?

原子は中心にある原子核の周りを電子が周っている構造をしており、周期表はその電子軌道によって決まっているといっても過言ではありません。

例えば水素は中心の陽子1つを含む原子核の周りを電子が1つ周っており、ヘリウムは陽子2つの軌道の周りを電子が2つ周っております。

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水素軌道もヘリウム軌道も1種類の軌道からなっており、K殻と言う所に収まっています。

そして、ここにある軌道はs軌道と呼ばれており、最大で2つの電子があり、ヘリウムの電子はK殻に充填されており、最外殻に電子がすべて(正確には違うが)埋まっている配置とのことを希ガス配置と呼び、この配置の次の原子は周期が1つ増えます。

 

では、次の周期のリチウム、ベリリウム、ホウ素を見ていきたいと思います。

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このように外側にも軌道が増え、この軌道のことをL殻と呼びます。

リチウムからネオンまでを第二周期と呼び、ここで使われている軌道はs軌道に加えてp軌道と言う軌道も使われています。

p軌道は最大で6つの電子が入っており、第二周期では最大1s軌道、2s軌道に2つずつ、2p軌道に6つと計10個の電子を収めることができ、10個の電子が入った原子こそがネオンであり、希ガス配置を取っております。

そして、p軌道を採用した事により周期表が埋まるようになり、第一周期の時は1族と18族しかなかった元素が第二周期になると2族、13~17族まで埋まるようになりました。

要するに周期表に入る原子と言うのはs軌道やp軌道等によって決まっていることが分かります。

 

では、s,pの次はと言いますと...

 

 

 

2. d軌道

第三周期ともなるとs,p以外のd軌道を持つM殻なるものが現れますがここで変に思うことはありませんか?

それは周期表の形であり、第三周期の原子数も第二周期と変わらないことです。

つまり、第三周期もs軌道とp軌道しか存在しない?

実は使われている軌道はsとpだけなのだがM殻にはきちんとd軌道があり、エネルギー上の制約があるがために使われず、アルゴンの時点で安定してしまうのです。

このd軌道が使われるのは第四周期からなのです。

ちなみにナトリウムには1s,2s軌道にそれぞれ2つずつ、2p軌道に6つ、3s軌道に1つの電子が存在しており、計11個の電子があり、

アルゴンには1s,2s,3s軌道にそれぞれ2つずつ、2p,3p軌道にそれぞれ6つずつの電子が存在しており、計18個の電子があります。

この時点ではM殻のd軌道、即ち3d軌道が使われていません。

 

次の第四周期でようやくd軌道が使われるが3d軌道よりも4s軌道のほうがエネルギーが安定なので4sのほうが先に入ります。

カリウムとカルシウムはアルゴン軌道に4s電子がそれぞれ1つ、2つ入ったものであり、3d軌道が使われるのは次のスカンジウム(Sc)からなのです。

このd軌道が関与する元素のことを遷移金属と呼び、全て金属元素なのでこのような名称であります。

d軌道には最大で10個の電子が周っており、周期表s軌道、p軌道、d軌道の3つの軌道があることを前提で作られているためs軌道しかない1周期目、p軌道しかない2,3周期目の形はかなりいびつであります。

 

ちなみにd軌道がすべて埋まっている亜鉛カドミウム、水銀は遷移金属と呼ばれないこともあります。

 

第四周期の希ガスであるクリプトン(Kr)の電子は1s,2s,3s,4s軌道にそれぞれ2つずつ、2p,3p,4p軌道にそれぞれ6つずつ、3d軌道に10個の電子が周っています。

(4×2+3×6+10=36)←クリプトンの原子番号は36なので電子数も36個

 

実は第四周期の原子殻であるN殻には4f軌道と言うf軌道が存在するがこれも第六周期から使われ、第五周期でも使われません。

第五周期でもまだs,p,d軌道だけなので、周期表はきれいなままです。

 

 

 

3. f軌道がランタノイドを作る

第六周期の3族はランタノイドとなっており、下のほうに書かれているがこれは周期表がd軌道までを前提として作られているために入れるスペースがなくなり、仕方なく下に書いているだけです。

第六周期のランタノイドや第七周期のアクチノイドf軌道なる軌道に関与した元素であるために周期表には収まりません。

もし収めようとするならば相当ガバガバなものとなり、総合的にd軌道までを全体にした形が一番きれいなので現在のような形となっているのです。

 

f軌道には14個もの電子が周っており、ランタノイドの数が15個あるのはf軌道14個とd軌道1個に起因しています。

まあ、ランタン(La)にはf軌道がまだ使われてはおらず、f軌道が使われるのは次に位置しているセリウム(Ce)からですが...

場合によってはランタンにはf軌道が0個使われているとも解釈できるが...

また、このことよりf軌道が使われていないランタンこそが3族であり、セリウム~ルテチウムまでの14元素は何族でもないとも解釈できます。

スカンジウムイットリウム(39,Y)もf軌道が使われていないので...

 

 

ちなみにランタンは照明器具のランタンとは何の関係もありません。

 

ちなみにアクチノイドも同じように解釈できるがランタノイドが用いるf軌道は4f軌道だがアクチノイドの場合だと5f軌道となります。

このf軌道と言う過剰な軌道が周期表の形を複雑化させているとも言えます。

 

 

 

4. では、f軌道よりも上の軌道は?

当然ながらf軌道よりも上に属する軌道もあり、五番目の殻、O殻から現れるg軌道なるものです。

ここまで大きくなると天然の元素はおろか、現在までに合成された元素でも使われているものはありません

使われるとしても第八周期からであり、もしここまでの周期表を作ろうとすると更に余白に追いやられる元素は増え、実に1周期当たり32個もの元素が余白に位置してしまいます。

何故ならg軌道には18個もの電子が周り、それにf軌道の14個の電子が加わるからです。

 

よって、第八周期の希ガス原子番号は168、第九周期にもなると218となってしまいます。

まあ、そんな原子はほぼ確実に作れないと思いますが...

 

 

 

以上のことより何故周期表が汚いかと言いますとd軌道を前提に作られているが当然第一周期や第二,三周期にはd軌道が使われておらず、第六,七周期にはf軌道と言う更に違う軌道が存在するからです。