DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

テクネチウムとプロメチウム 天然には存在しない2原子

ご存知原子には様々な種類があり、現在発見されている原子は118種類もあります。

しかし、原子番号の大きい原子は安定しておらず、すぐ崩壊して新しい原子になってしまいます。

原子番号の小さい原子は安定な原子核が存在するものの実はある2つの原子は原子番号が小さいのにも関わらず、安定な原子核が存在しません。

今日はそれらについて書いていきたいと思います。

 

1. 安定な原子核とは?

安定な原子核原子核が安定が故に原子核の構成要素である陽子と中性子が変化しないです。

しかし、安定ではないもの(中性子と陽子のバランスが悪いなど)は原子核からある粒子を飛ばす(α崩壊)、または中性子が陽子と電子に分かれる(β崩壊)などして安定な原子核に変わります。

この安定な原子核のことを安定同位体と呼び、安定では無い原子核のことを放射性同位体と呼びます。

例を挙げると水素と重水素安定同位体だが三重水素放射性同位体です。

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このように水素と重水素は安定なので変化はしないが三重水素は過剰に中性子があるせいか中性子の1つが電子を飛ばすことで陽子化し、ヘリウム3となります。ちなみに普通のヘリウムは陽子数2、中性子数2であり、このタイプのヘリウムはほとんど存在しません。まあ、核融合の時に生成するが...

この時飛ばされる電子はβ線と言う放射線であり、このように不安定な原子核放射線を放出するために放射性同位体と言います。

ちなみにα線はヘリウム4(普通のヘリウム)なので質量数が4以下の原子は絶対にα崩壊はしません。   まあ、当たり前だが...

 

ここまでは「水は9種類ある」の記事と重複するがこれからが本題です。

 

 

 

2. 安定同位体の限界

安定同位体には限界があり、ある原子番号以上では安定同位体が存在しません。

では、安定同位体の限界は何なのでしょうか?

それは...

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これです。

まあ、これだけだとあまり分からないがこれは質量数が208の鉛です。

ご存知の通り、鉛は非常に重くて柔らかい金属であり、古代から知られています。

重い理由は原子番号が非常に大きいからであり、安定同位体の限界と言われているように鉛以上の原子には安定なものが存在しません

また、その重さから鉛は天球上で動きが鈍い土星に例えられてきました。土星は地球から見える惑星の中で最も地球から遠いために動きが鈍くなるためです。

一応天王星も見えるがあまりにも暗いので発見されたのは近年です...

 

ちなみに鉛の原子番号は82であり、実は周期表では炭素の4つ下で炭素と同じ14族と言うところに分類されています。

炭素は金属ではないものの周期表は下に行けば行くほど(つまり原子番号が大きいほど)金属化が進むので鉛の1つ上の錫(すず,Tin 鈴ではない)と鉛は完全な金属だが炭素と錫の間のケイ素とゲルマニウムは半金属の性質を持っています。

何故金属化が進むかと言いますと原子核から一番遠い電子は近いものと比べて原子核に引き付けられる力が弱いため、原子間を動き回りやすくなり、金属の性質を示すからです。

 

また、先ほど挙げた鉛208は陽子数が82、中性子数が126原子核で、鉛の中で最もポピュラーなものであり、鉛全体の割合の半分強を占めています。

ちなみに残り半分は鉛206と鉛207を占めています。

 

更に鉛は安定同位体の中で最も大きいので放射能を持つウラン(92)やトリウム(90)は崩壊を何度か起こし、最終的には鉛206,207,208になります。

 

これらのことより鉛は古代から知られているものの安定同位体がある中では一番重く、結構ギリギリな原子であることが分かります。

 

ちなみに今まではビスマス209と言う物が最も安定な原子核と言われていたが「ビスマス209は実は放射性同位体でした」と言われたので鉛208が最も安定です。

ビスマスとは原子番号83であり、日本語では蒼鉛(青い鉛の意味)と呼ばれています。

 

原子核にとって82と208はかなり重要な数字となっております。どちらも偶数だし。

また、83は素数です。

 

 

 

3. 2つ欠けた原子、Tc,Pmとは?

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突然ですが、この2つの数字は何でしょうか?

奇数! 確かに奇数です

素数! そう、その通りでこの二つは素数なのです

 

実は安定同位体が存在しないある82よりも小さい2つの原子の原子番号であり、偶然にも両方とも素数なのです。とても偶然とは思えないですが...

 

原子番号43はテクネチウム(Tc)61はプロメチウム(Pm)であり両方とも安定同位体が一切存在しません

先ほど両方とも奇数と書きましたがまさにそれが関係しており、原子核と言う物は原子番号が偶数のほうが安定しており、先ほどの鉛も原子番号は偶数なのです。

奇数のものとなると安定同位体が偶数のものと比較しても極端に少なく、多くても2つと言われています。最も原子番号の小さい奇数原子の水素も軽水素、通称プロトン(陽子と同じためにそう呼ばれる)と重水素の2つしかありません。

 

また、奇数番号の原子核は質量数もほとんど奇数であり、質量数が奇数のものは安定同位体が1つしかないのです

つまり、テクネチウム安定同位体として考えられる、質量数が97,99の安定同位体は1つしかなく、それぞれモリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)が安定同位体であり、テクネチウム安定同位体は1つもないことになります。

モリブデン原子番号は42ルテニウム原子番号は44です。

 

同じような理由でプロメチウム安定同位体と考えられる質量数で安定なものは隣のネオジム(Nd)とサマリウム(Sm)なのです。

 

素数なのは偶然かどうか分からないが奇数であることには大きな関係があったのです。