DS930810のブログ

主に役に立つような雑学を解説する形で書いていきたいと思います

南十字星の偽物、アルゴ座に存在する十字擬き

前回は南十字星について書きましたが今回はその南十字星と紛らわしい星の並びについて書いていきたいと思います。

 

1. 十字が3つも?

f:id:DS930810:20170812201527j:plain

上の画像は南天の星であり、明るい星が多いことが分かります。写真の左端はハダル、そのすぐ隣の小さい十字は南十字星、中央がダイヤモンド・クロスと言うこれまた紛らわしい南十字星擬きであり、右の十字が偽十字です。

 

この偽十字こそが今回取り上げたいものであり、南十字星とよく間違われます。

今となっては関係ないが昔の航海では星の並びが非常に重要で南十字星の先が天の南極を示しているために南を示す指標として用いられてきました。

しかし、偽十字の先は上記の写真の通り、南十字星とは全く別方向を示しているために南十字星と勘違いするととんでもないところに行ってしまい、遭難する危険性もあったのです。

つまり、偽十字は全然ありがたくない星の並びなのです。

ちなみにダイヤモンド・クロスと言うなんかありがたい名称がついている十字もありますがこちらのほうは特に悪評は聞きません。

 

 

 

2. 偽十字とは

偽十字はほ座のδ,κりゅうこつ座のε,ιの4星によって構成されています。

これだと2つの星座にまたがって存在しているように見えますがそれは現在の話であり、神話時代の時から中世にかけてはアルゴ座と言う巨大な船の星座に両方とも属していました。

アルゴ座は現在ではりゅうこつ座、ほ座、とも座の3つに分割されており、りゅうこつ座にはα,β,ε,η,θ,ι,ʊ,χ,ω星が所属しており、ほ座にはγ,δ,κ,λ,μ,ο,φ,ψ星が所属、そしてとも座にはζ,ν,ξ,π,ρ,σ,τ星が所属しています。

この中でα星は全天で二番目に明るいカノープスであります。

ちなみに他に1等星は存在しません。まあ、厳密にいうと0等星も1等星も存在しないが...(カノープスはマイナス1等星だから)

 

とまあ、偽十字星はアルゴ座にある4つの星によって構成されています。

では、個々の星について説明していきたいと思います。

 

 

2.1 近場のδ星

実は偽十字星の星も1つだけかなり近い位置にある恒星があり、それがこのδ星です。

その距離は80.5光年であり、大体この距離は北斗七星唯一の3等星メグレズとほぼ同等です。

また、地球から見た明るさは1.96等星であり、北極星よりも若干明るい程度であり偽十字星の中では2番目に明るいです。

これより算出される絶対等級はマイナス0等であり、プラスとマイナスのちょうどはざまにいます。一応ギリギリマイナス等級だが...

まあ、あまり明るい星とも考えられないが一応マイナスはいってるみたいなので暗くはないと考えたいです。他の偽十字星を見なければの話だが...

ちなみに表面温度はシリウスと同じぐらいです。

 

 

2.2 低温巨体のε星

この星はギリシャ文字的にはδよりも後だが実際にはこちらのほうが明るく、南十字星一明るい星です。

その明るさは1.86等星であり、大体おおぐま座η星と同じくらいの明るさです。

しかし、この星は非常に低温であり、他の恒星の温度は比較的高めの星が多いため(実際に高いのはκ星だけであり他は大して高くないが肉眼では7200℃以上だと青色として認識されるがためにこの星以外は青色に見えます)、そのことが南十字星と紛らわしくしています。

つまり、この星のポジションは南十字座のγ星のように思えるが実際には違い、比較にならないほど強大な恒星です。

その距離は605光年と非常に遠く(γ星は88光年)、実際の明るさもすさまじく、絶対等級は何とマイナス4.48等もあります。

この明るさと遠さは南十字座のどの星をも凌ぎ、特に遠さに至っては比較にならないほどです。

詳しい直径は不明だが地球軌道ほどあると考えられ、質量も9倍ほどあるために今後近いうちに超新星爆発を起こすと考えられています。

f:id:DS930810:20170812205011j:plain

左が竜骨座ε、右が南十字座γ。両方とも低温だが距離や明るさは全く違う。

 

ちなみに姿はどう見ても超巨星なのだが分類は何故かただの巨星であり、その点は謎です。

 

更に余談だが今までは無名の星(文字通り名前が無い星のこと)だったが不便だったのでAviorと言う名称がつけられた模様です。意味は不明だがおそらく航空系の意味だと考えられます。

 

 

 

2.3 カノープスのミニチュアバージョンのι星

偽十字星で3番目に明るいのでι星であり、実はこの星は偽十字星の中では一番遠い星です。

距離は765光年南十字座のどの恒星の2倍以上も離れた位置に輝いており、大変遠いことが分かります。

地球から見た明るさは2.25等であり、そこまで明るくないものの2等星ではあります。

では、絶対等級はと言いますと偽十字星最高値であるマイナス4.60等です

この明るさは1,000光年の中でも余裕でトップ10に入るほどであり、極めて明るい星であることがうかがえます。まあ、ε星もトップ10に入っていますが...

更にこちらはれっきとした超巨星であり、実際に見てもそれを疑う要素はありません。

 

実はアルゴ座の主星のカノープスとは外見がよく似ており、超巨星だあるという点、りゅうこつ座であるという点、表面温度がほぼ同じであるなど共通点が多いです。

実際にはカノープスのほうが大きく、この星はカノープスのミニチュア版であるように見えます。こんなに明るい星がミニチュアとはカノープスっていったい...

下に比較図を載せます。

f:id:DS930810:20170812210517j:plain

左から太陽、ι星、カノープスです。

太陽が小さすぎてι星がミニチュアにはとても見えない...

ちなみに直径は太陽の43倍程度であり、カノープス(71.4倍)の60%ほどです。

 

ちなみにAspidiskeと言う名前らしいです。

 

 

 

2.4 灼熱のκ星

今まで上げた星の表面温度はそこまで高くはなかったがκ星は非常に熱く、上記の星の温度を足したぐらいの表面温度があります。

しかし、地球から見た明るさは暗めであり、2.47等しかなく、ギリギリ2等星です。まあ、一応2等星ではあるが...←重要

この星の距離は南十字座の星々の距離よりかは余裕で遠いもののε,ιよりかは近いです。

その距離は572光年であり、そこから換算される絶対等級はマイナス3.75等であり、北極星よりも明るいです。

これより可視光だとε,ι星のほうが明るいがこの星は表面温度が20,000℃以上あるために可視光ではほとんど放っておらず、総エネルギー量だと偽十字星最強と言えます。この点は南十字星にも言えるが...

 

まあ、すごく地味な星ですが...

 

ちなみに固有名はMarkebと言うみたいですがこの星と似た名称と明るさの星がペガスス座に存在し、その固有名はMarkabと言います。しかも、κ星も元々はMarkabと言う名前であったが何故かaがeとなり、現在のようになってしまった模様です。おそらくだが同じ名前なので改名を余儀なくされた可能性も考えられます←それならものすごくやるせないな。

そもそもつる座とケンタウルス座にもAlnairと言う天体があるがこちらはノーマークみたいです。

しかも書いた通りペガスス座のほうのMarkabも地球から見た明るさがギリギリ2等星で明るさの点でもものすごく紛らわしいです。

ちなみに絶対等級ではκ星のほうが圧勝だとか

 

 

 

3. 南十字と比較して...

偽十字の星も南十字の星も地球から見て1つだけ近く、3つは遠いという共通点がある上に1つだけ赤い星があるという共通点があります。

しかし、南十字の星の表面温度は高めのものが多いのに対して偽十字の星の表面温度はそこまで高くなく、更に距離は偽十字星のほうが圧倒的に遠い傾向があります。

要約すると南十字の星は紫外線中心であり、偽十字星の星は可視光中心であると言えます。

 

また、偽十字星の星は明るさがそろっている上に(一応全て2等星)十字の大きさも大きく、そのことが原因で南十字と間違えられていると考えられます。

 

 

これだと南十字星と偽十字星を間違えてしまいますので見分け方を書きたいです。

1. リギルとハダル

南十字星の近くには非常に明るい星のリギルとハダルが並んでおり、この星々があるか否かによって見分けることができます。偽十字星の近くには明るい星が無いために...

 

2. 赤い星が北を向いているか南を向いているか

実は南十字星の赤い星はを向いているのに対して、偽十字星の赤い星はを向いているという決定的な違いがあります。このことに注意すれば本物か否かが見分けられます。普通に1の方法のほうが良いとは言わない

 

 

とまあ、今回は南十字星擬きについて紹介しました。