DS930810のブログ

主に役に立つような雑学を解説する形で書いていきたいと思います

南十字のポインター、ケンタウルス座リギルとハダル

南十字星は非常に有名であり、南天を代表する星座です。

しかし、南天で有名ということは東京からは見ることができません。

実は南十字星の近くには南十字星よりも明るく、仲良く並んだように見える2つの星が見えます。

その二つの星とはケンタウルスαリギルβハダルです。

f:id:DS930810:20170810215248j:plain

画像の左中央の一番明るい星がリギル、隣の明るい星はハダル。

(画像は右下のwww.Astro...Roger Groom参照)

 

この二つを見ていると双子のように見えるがその実態は...

 

1. ケンタウルス座の2輝星

上記の画像を見ていると非常に近い位置で明るい星が2つ並んでおり、かなり良いコントラストのように見えます。

実際にこの二つの星は非常に明るく、全天でも南十字を含めこれほど明るい星が並んでいる光景はありません。

それもそのはず、リギルの明るさはマイナス0.27等でベガよりも余裕で明るくシリウスカノープスに次ぐ全天で3番目に明るい星だからです。

また、ハダルは1等星の中ではでは1番明るく0.61等星であり、アルタイルの光度を超えています。

えっ?、1等星で一番明るい星はシリウス

あれはマイナス1等星であり、あくまで1等星のなかでで1番明るい星なのです。

(1等星とは0.50≦1等星<1.50のことである)

ちなみにリギルは0等星の中で1番明るいです。

つまり、彦星と乙姫よりも近い位置でしかも彦星や乙姫よりも明るいのです

 

つまり、ケンタウルス座はこのように明るい星を2つも持った贅沢な星座なのです。

知名度はかなり低いが...

そもそも、日本からは見えないし仕方ないか。

 

ちなみにリギルの表面温度は太陽とかなり近く太陽を遠くから見ればリギルのように見えます。実は似ているのは表面温度だけではなく...

逆にハダルの表面温度は非常に高く、太陽の4倍はあると言われています。

 

では、リギルとハダルはどのような星でしょうか?

 

 

 

2. 太陽に姿も距離も近いリギル

f:id:DS930810:20170810221840j:plain

先ほど太陽とリギルは温度が似ていると書いたが実は温度だけではなく、星の姿も似ているのです。

太陽の光はお世辞にも明るいとは言えず、7光年ほどで1等星として観測することができなくなります。

では、何故太陽と似たような恒星であるリギルがこんなのも明るく見えるのでしょうか?

答えは単純明白。距離がとんでもなく近いからです。

その近さは相当なものであり、太陽以外の全恒星系の中で唯一5光年以内に存在する恒星系だからです。

その距離は4.37光年と他の星を圧倒する近さであり、近いことで有名なシリウスの半分強程度しか離れていません。

カノープス? あれは化け物だから全然近くはないが...

 

ちなみに恒星系と書いたがリギルは3重連星であり、明るい星(-0.01等と1.33等)と非常に暗い星の3重連星系です。

明るい2つの星は近くを周りあい、直径は大きいほうは170万キロ、ちいさいほうは120万キロと太陽とそこまで大きな違いはありません。

f:id:DS930810:20170810221740j:plain

そして、その外側に非常に暗い星が非常に長い時間をかけてゆっくりと公転しています。この星は現在の所全恒星の中で太陽に一番近く、最近距離と言う意味のプロキシマと名付けられています。

余談だが名前が似ている「プロキオン」には近いという意味はありません。まあ、プロキオンもトップクラスに近いが...

ちなみにプロキシマは非常に近いが星自体が非常に暗いので余裕で肉眼観測はできません。

 

また、リギルAの絶対等級は4.38等で太陽の1.5倍明るく、リギルBは5.71等なので太陽の半分程度の明るさです。つまり、結果として恒星系全体では太陽の2倍程度の明るさになります。

更に書くと連星両方の明るさが1等星以上の恒星系にはリギル以外にはぎょしゃ座のカペラがあります。カペラの表面温度も太陽に似ているが...

逆にリギルから太陽を見るとカシオペア座の方向にベテルギウス並みの明るさで見えるという噂があるが...

 

とまあ、リギルは太陽に似ている星だが相方?のハダルはと言うと...

 

 

 

3. 灼熱で強大な星、ハダル

f:id:DS930810:20170810222841j:plain

リギルは太陽に近く、そして太陽に似ている星であるがハダルのほうはと言うと...

太陽とは全く近くなく、相当な距離にあります。

その距離は392光年リギルの90倍ほど離れています。

これは1.5等星よりも明るい星の中ではデネブ、リゲル、アンタレスベテルギウスに次いで遠く、何と南十字星カノープスよりも遠いです。

それでもリギルの半分程度の光を放っているので実際の明るさも非常に明るく、絶対等級はマイナス4.79等もあります。

この明るさは1,000光年以内の恒星の中でも6番目に明るいほどです。

ちなみに上位5星はリゲル、カノープスベテルギウス、アンタレス、アルニタクです。

これだけでも十分凄いのだがこの星は表面温度が24,000℃程あり、エネルギーの大半が紫外線で放出されており、可視光の割合は小さいです。可視光でも十分すぎるぐらい明るいので実際のエネルギー量は当然更に強く、一説では太陽の1日分のエネルギーを2~3秒程度で放っている模様です。

つまり、ハダルは恒星的に見ても最強クラスの恒星と言えます。

 

また、ハダルはケンタウルス-さそりOBアソシエーションと呼ばれる超巨大星団出身の恒星であり、ここ出身の恒星にはアンタレス南十字座αβδなどが他にあります。かつてはカノープスもここ出身と考えられていましたが現在では否定されています。

この星団の星は非常に明るい星が多いですがハダルはこの中でも限りなく最強に近い星です。

更にハダルはケフェウス座ベータ型変光星と呼ばれる変光星だが勿論この中でもさそり座のシャウラおおいぬ座ιと並ぶ最強クラスの星です。ちなみにこの変光型の星の中では地球からの明るさは一番です。

更に更に余談だがβ星の中ではリゲル(オリオン座)に次ぐ明るさの星です。

 

とまあ、リギルと仲良く並んでいるように見えるハダルは実際にはリギルとは関係なくとんでもない恒星なのです。

 

 

ここまで書くとハダルはすごい星なのでがハダルにも欠点はあります。

それは非常に地味なことです。

おそらく全天21星の中では最も地味な星だと思われ、この星だけ恒星の大きさ比較の動画に1回も出演していませんちなみに出演数ゼロの星の中で次に明るいのはシャウラです...

 

皆さんも南十字だけではなく地味で強大なハダルにも注目してほしいです...